忍者ブログ

元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

07250647 [PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • :07/25/06:47

06131838 コロナ禍で求められるリーダーシップ

新型コロナウイルス感染症パンデミックは、これまで見えていなかったものが見えるようになりました。感染拡大から1年が経過し、ワクチン開発、接種と進んでいますが、いまだに先はまったく見通せていません。

有事のリーダーは、慎重かつ大胆な決断が求められます。慎重かつ大胆な決断を実践できるかどうか、これこそが今求められているリーダーです。

現在の日本のリーダーはというと、残念ながらどちらも備わってはいません。

新型コロナウルス感染症が世界に広まりを見せようとしていた時、ある決断を下したリーダーに注目すべき二人に注目すべきだと思います。

アダム・シルバー
アメリカ合衆国の法律家で、プロバスケットボールNBAコミッショナーです。

ジャシンダ・アーダーン
ニュージーランドの政治家で、ニュージーランド労働党党首。ニュージランド首相です。

この二人こそ、新型コロナウイルス感染症パンデミックで見せてくれたリーダーのあるべき姿をまざまざと見せつけてくれました。

コロナウイルス感染拡大はリーダーにとって、途方もない負担を強いられています。だからといって、リーダーシップを発揮できない状況だと考えるのは間違いです。

アダム・シルバーは昨年3月11日の時点で、NBAのリーグ中断を決めました。新型コロナウイルスがどう広まるか、どのような結果を招くのかまったくわからない状況下で決断を下したのです。偶然にも、3月11日はWHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスが「パンデミック」と公式に宣言した日でもあります。

リーダーとしては、状況がハッキリするまで決断・行動を先延ばしにしてしまいます。これは、人間の本能とマネジメント(組織に成果を上げさせるために必要な道具、機能を整えること)から、当然、先延ばしにしてしまいます。

それが、脅威を軽視したりするため、間違った対応を組織にさせてしまい、組織に不安を広げさせないために仕方のないことではあります。

コロナ・パンデミック下では、有事のリーダーシップが求められます。脅威度が明らかになるまで対応を先延ばしにし、危機管理上、対応に後れが出てしまいます。それが安倍前首相であり、菅首相です。

有事のリーダーは、緊急性を理解し正直にかつ反復し対応をすることが求められます。間違いは避けなければなりませんが、対応に誤りがあれば責任の追及ではなく、軌道をどう修正するかを心がけなければなりません。

アダム・シルバーのNBAリーグ中断は、感染回避だけでなくホッケー(NHL)、メジャーリーグ(MLB)など複数のスポーツの停止決断をももたらしました。

NBAは2019年に80億ドル超を稼ぎ出しましたが、それをリーダーが決断するのはとても勇気のいることであったはずです。その決断に人々は動かされたのです。

先が見えない状況で決断した政治家として、アーダーン首相が挙げられます。

昨年3月21日、パンデミックに備える対応を示しました。

アーダーン首相はこの日、国民にテレビ演説を行い、新型コロナウイルス警戒システムを発表しました。

アーダーン首相の優れているのは、この警戒システムはニュージーランド国内で運用されている火災危険度システムをモデルとしたもので、国民にとって馴染みのあるものでした。感染拡大により政府がどう対応を進めるか、国民に政府が何を求めるのか明確にされていました。

ニュージーランドでは、アーダーン首相が対応の公式発表をした時点で感染確認数は52件、警戒レベル2が発動されていました。移動の一部制限、接触機会を減らす要請が出されました。

4日後、感染確認数が205件なりレベル4に引き上げられ、全国的なロッカダウンが実施されました。

日本ではこの時期、何も決められていません。唯一、決められたものは小中高の一斉休校だけでした。推測ではありますが、規制を強いて国民の支持が得られるか心配していた状況だったのでしょう。

強い規制を行ったアーダーン首相は支持率が80%を超えましたが、これはアーダーン首相が明示した警戒レベルを国民が理解していたこと、そして国民は感染拡大を抑制するのに、何が求められているかを理解できたいことが挙げられます。

アーダーン首相は正直であり思いやりがあり、国民の日常生活に犠牲を強いることを認め、ともに耐えて前進するという方向性を国民に持たせたことが最大の功績でしょう。

「どうか強く、優しくなってください。そして新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に、団結して立ち向かいましょう」とアーダーン首相は国民に向けて語りかけました。

コロナ禍で求められるリーダーシップは、初期段階で問題の性質を認識できているかということに尽きるでしょう。先が見えない=脅威が不明瞭だという点でリーダーは迷うことになります。
ここで問題になるのは、人間は「脅威」は小さいものであって欲しいという願望が働きます。この願望でリーダーの行動は、実際に「脅威」は小さいものであるかのように行動してしまいます。

日本では東日本大震災(巨大津波)・原発事故と国難に、リーダーは迷走しました。国民から批判が強まると、これに乗っかるように自民党(安倍前首相)は民主党を批判。自民党が返り咲く結果となりました。

学ぶべきチャンスはあったものの、「自分たちは違う」という慢心が自民党にあったのでしょう。震災時の民主党と同じ「順調だと安請け合い」し「楽観的メッセージを発する」という愚かな行動に出ました。

安倍前首相・菅首相に欠けているものは何か。

●緊急行動ができない
不明瞭な脅威であるため、不充分な情報であるにもかかわらず「明確」であると誤った判断を下してしまいます。

決断(意思決定)を先送りにするリスクはわからないままですが、危機的状況であればあるほど、「明確になれば対処を決める」という希望にすがろうとします。貴重な時間を無駄にするだけです。

不充分な情報で行動することは、火中の栗を拾うことです。

●透明性のメッセージを伝える

悪いニュースを伝えることは、リーダーとしては避けたいことです。組織の士気を低下させ、支持率まで下げてしまいます。

このリスクを避けるには、透明性のあるコミュニケーションが必要となります。

アーダーン首相は、「この急激な変化のすべてが、不安と不確実性を生むことを私は理解しています。私たちの生活様式が変わるのですから、当然です。だからこそ今日は、方針を可能な限り明確にお話しします。一致団結してウイルスとの闘いを続けるうえで、皆さんが何を想定しておくべきかを」国民に語りかけました。

アーダーン首相は定期的に国民に語りかけており、自宅での映像も公開されています。

シルバーも時間の経過とともに、全チームにメッセージが送りました。

「透明性のあるメッセージ」とは、現実を正直・正確に伝達することです。何を知っており、未来をどう予測しているのか、それが組織にとって何を意味するのか、それらを明確に伝達することです。

当たり前のように、事態が収束してしばらく経ってから、「パニックになるのを恐れ」と当時のリーダーは語りますが、これは自分の能力の無さを認めない言い訳です。

真実だけを伝えるのは、組織を自暴自棄にさせ避けなければならないことです。しかし、真実と希望を持たせる将来の展望を含めなければなりません。

●過ちには認め、建設的な対応に切り替える

失敗が明らかになった場合、リーダーは後ろ向きな自己弁護、非難することは避けるべきことです。

目標(コロナ感染抑制)への集中を維持させ、次に差し迫る問題解決に取り組むため、先を見越さなければなりません。

シルバーに対し、ニューヨーク市長が全米でコロナウイルス検査が受けられない状況であるのに、NBA選手らが検査を受けられたことに「不公平」だと批判しました。シルバーは、これを批判が正当であることを認めながらも、根本的問題は「検査の不足」であることを強調しました。

「もちろん、デブラシオ市長のお考えはわかります。そして、検査がトリアージ(症状などに応じて優先順位づけ)されているというこの社会の現状は残念です。つまり、根本的な問題は明らかに、検査が十分ではないということです」


どのような失敗への対応に重要なのは、聞く耳を持ち、それを認め、組織を問題解決に向かわせることです。

●最新情報を常に更新する
リーダーは洋の東西を問わず、決められている方針を貫くという錯覚があります。

確かに方針を揺るがすことは、最も重要なことではありますが、情報を基にして判断(対応)をしていくことが重要です。

最新情報は専門家から引き出すべきですが、様々な立場の専門家を集めること。ウイルス感染症ですから、医学・医療関係者を集めるのは当然ですが、アドバイザーは多方面から集めることが重要です。

脅威が不明瞭であれば、アドバイザーを時間の経過とともに入れ替えることも必要です。

権力中枢に座る者にとって、これまでの経験上、大きな苦難弥喪失を経験してきていることでしょう。
 
リーダーは理性的で冷静に、個人的感情を持ち込まず、好機を待っていると主張することでしょう。
シルバーやアーダーン首相は、真逆の対応を続けました。他者の身になり、他者の胸中を感じ取り、共感を持って導くことに徹しました。

残念なことですが、日本のリーダーはこれらをまったくできていません。基本は支持率アップだけ。強く明確な話をすることで、支持率アップにつなげようとする胸算用が働いています。

国民(組織)あってのトップだという事実を理解していないことが、最も重要な事実ですが、国民(組織)はこれを理解し批判する勇気を持たないと、国民の生命・財産が無大に失われ続けることだけは確かです。

拍手[0回]

PR

+コメントの投稿+

+NAME+
+TITLE+
+FONT+
+MAIL+
+URL+
+COMMENT+
+PASS+
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

+TRACK BACK+

+TRACKBACK URL+