元自衛官の憂い The third
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03131046 | 南スーダンPKO撤収から見える対中包囲の失敗 |
突然の南スーダンからの撤収発表に、歓迎と驚きが広まっています。あまりにも唐突な撤収に、何か裏があると見るのは当然のことです。
日本(安倍政権)は中国との政治、軍事の面で対峙を選択し中国を封じ込めるよう模索しました。第二次安倍政権の外交政策の中心に据えられました。安倍政権は米国、オーストラリア、インド、ロシアを巻き込んだ対中包囲網の構築を急ぎました。
その一つが南スーダンへの自衛隊の派遣継続でした。民主党政権の何も考えない外交から皆スーダンに自衛隊が派遣され、安倍政権はこれを引き継ぎ対中包囲網の一つに利用しようとしたのです。
急ぎ構築しようとされて対中包囲網ですが、これは完全に失敗しました。周辺国の軍や安全保障を担う部署は中国に強い警戒心を持ってはいますが、周辺国政府は日本ほど中国を敵視してはいません。対中関係を安定させ経済利益を優先させています。こうした理由から、日本の提案に乗っかることはせず完全に日本の虚しい努力で終わりかけています。
日本、インド、オーストラリア、米国(ハワイ)でダイヤモンド形の「安全保障のダイヤモンド構想」、積極的平和主義などを展開しましたが完全に失敗しました。
「安全保障ダイヤモンド構想」は4ヶ国で安全保障分野で協調し中国に対抗しようとするものでした。現実には日本の鼻息だけ荒く、他の3ヶ国は日本とは明らかに温度差がありました。表向きは軍事交流は深まったように見えますが、日本との温度差は明らかでした。
米国の対中姿勢は、中国国内に存在する国際協調派を直接・間接的に支援し、国際協調派を政権中枢に入れ、中国を国際秩序に取り込もうとしており、日本のには対中敵視を米国は取れる状態ではありません。逆に日中間のトラブルに巻き込まれないように、配慮しているという状態です。
ですから、日本政府は米国の尖閣諸島の安保条約適用の言質を取りたがるのです。
オーストラリアも中国との対立を望んではいません。オーストラリアでは仮想敵国の中に「中国」が含まれてはいるでしょうが、オーストラリアにとって中国は日本以上の貿易相手国なのです。オーストラリアにとって当然、経済的利益は優先され、対中対立は賢明な選択とはいえません。
オーストラリアの政権が替わり、対中姿勢が軟化し日本のダイヤモンドは崩壊寸前となりました。
残る期待は「インド」だけでしたが、インドは実益を優先させる外交を続けてきました。日本の対中アレルギーのような反応を見て、完全に足元を見透かしました。
誰の目にも明らかです。US-2購入、原発導入など口にはしますが、US-2の使い道などありますか? 日本製の原発は原発事故で信用度は低下しており、インドのリップサービスであることは明白です。インドには豊富な埋蔵量を誇る石炭があり、これを利用すれば原発など必要ではありません。
今では忘れかけていますが、「価値観外交」も失敗しています。
日本は中国だけでなく、北朝鮮を敵視(これは当然です)し、韓国ともトラブルを抱え、これらに対抗するために中国・北朝鮮・韓国の周辺国との外交関係を強めようとしました。自由、民主主義、人権、法の支配、市場経済を表向きに外交関係を深めようとしました。
対象とされたのはトルコ、ロシア、インド、モンゴルです。トルコは政権が不安定な状態となり、ロシアはウクライナ問題で孤立化、インドはリップサービスだけで援助だけで何の実もありませんでした。
アフリカでも南スーダンで明らかなように、何ら結果を出せずゲームオーバー。アフリカ開発会議では3兆円を注ぐと約束し、見返りはまったくありません。
南シナ海でも失敗しました。
お気づきだと思いますが、これらはカネと口は出すが、日本は血を流さないという大前提で外交を展開するための結果なのです。
トラブルだけ持ち込んで、日本はこれに積極的に関与しない姿勢が見透かされ、どの国もまともに受け取らないのです。
ですから、安倍政権は「集団的自衛権行使」など積極的に関与するかのような姿勢を示しましたが、安倍政権は日本国民に対し全く説明しないままです。ですから、どの国も日本の姿勢を信用せず、足元見透かされてしまうだけなのです。
失敗が国民に知れる前に、韓国にようやく言うべきことを言う姿勢を取るようになりましたが、現実的には後の祭り状態です。
北朝鮮に至っては、打つ手がない状況を生みました。
ニュースなどでは、国際社会に脅威などと伝えますが、北朝鮮の核ミサイルの照準は日本とアメリカに向けられているのはわかりきっており、国際社会の脅威ではありません。
ですから、どの国も北朝鮮に対し実効性のある制裁などするはずもありません。
こうした事実から導きだされたのが、南スーダンの自衛隊の撤収なのではないでしょうか。
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