元自衛官の憂い The third
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03291441 | 日本は異次元の世界 |
政府は北鮮が今後も弾道ミサイルの発射を繰り返す可能性があると、自衛隊に弾道ミサイルを迎撃できるようにするため「破壊措置命令」を出しました。
北鮮が米韓の軍事演習に反発しており、その一つとして弾道ミサイルを発射しています。
ハズバンド・キンメルをご存知でしょうか。
帝国海軍が真珠湾攻撃を奇襲したときの太平洋艦隊司令長官です。キンメルは攻撃を許したとして責任を取らされ少将に降格、真珠湾攻撃の翌年3月には予備役となりました。
海軍部内では高い評価もありましたが、名誉回復はなされていません。1999年5月25日、名誉回復決議が上院で採択され、2000年10月11日には下院でも採択されましたが、時の大統領ビル・クリントンは署名を拒否、最終採決は次代のジョージ・ブッシュまで持ち越されましたがブッシュも署名していません。
なぜこれほどまで、評価されないのか…。開戦状態ではなく、日米関係は緊張状態にあったとはいえ奇襲を許した責任は重大だとの判断が働いているためです。軍人とはこれほど重大な責務を担っているのです。
かつて栗栖弘臣統幕議長が、奇襲を受けた際の自衛隊の対応として、「超法規的に行動せざるを得ない」と週刊誌に語り、同様の発言を繰り返し解任されました。
たとえば、東日本大震災で陸幕長であった火箱芳文陸将は権限がないにもかかわらず、全国の陸自部隊に出動を命じました。火箱陸将は回想で、出動を命じる中「クビ」を覚悟したそうです。
ご存知の通り、火箱陸将は処分されることはありませんでした。
平時に奇襲を許した軍人、天災という奇襲を許し権限が無いにもかかわらず見事な初動対処を見せた軍人。両極端な立ち位置ですが、これが軍人に対する国の要求であり、シビリアン・コントロール下の最高指揮官の判断なのです。
この事実から考えると、栗栖統幕議長の発言は間違ってはいないことです。
しかし、日本でも同じような状況が生まれています。
阪神・淡路大震災です。
自衛隊の災害派遣が遅れたのは、法的な不備が原因で、県知事からの派遣要請が無かったということが原因でした。
当時の方面総監は批判の矢面に立たされましたが、部内では法的な不備だとして同情が集まりました。
奇怪な話です。
法的な不備を理由に出動が遅れたと、同情されるのは軍人としてはあり得ないものです。
それが許されるのは、日本という平和ボケのニッポンくらいのものでしょう。
諸外国には日本の自衛隊法のような「破壊措置命令」はありません。軍隊は国家・国民を守るための存在であり、国民の頭上に降るミサイルから守るために、そのミサイルを破壊するのは命令が無くともやるべき仕事です。自然権の行使です。
警察官の発砲でさえ、法的に縛りが多くある国ですから仕方がないのかもしれませんが尋常ではありません。
ミサイルから国民を守るのは、他国の基地を攻撃しようとするようなものではなく、正常に起動する物を破壊しようとするものではありません。
「命令」と銘打たれていますので、「命令」が出されない可能性もあるわけです。
背筋に冷たいものが…これが、この国の実情なのです。
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