元自衛官の憂い The third
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04011320 | 与那国沿岸監視隊 |
3月28日、「与那国沿岸監視隊」が発足しました。
最前線となる可能性のある与那国島に沿岸監視隊とは、これまでの沿岸監視隊と同様最前線に配置されるわけですが、有事となれば軽武装の沿岸監視隊の運命を考えると胸苦しくなってきます。
沿岸監視隊は沿岸を航行する船舶の情報収集を主任務とする、「情報科」職種の部隊です。侵攻してくる敵部隊の撃破ではなく、あくまでも情報の収集に当たります。当然、武器は最小限の小火器のみです。
補給は当然、沖縄からになりますし、有事には完全に孤立してしまうでしょう。
与那国島は台湾と111kmしかなく国境の島です。通常の国家であれば、国境警備隊が常駐していても不思議ではないのですが日本には国境警備隊は存在しません。東日本大震災後、日台関係が改善していますので問題はありませんが、かつては台湾の餌食なる可能性すら懸念されていました。
平成24年時点で島民は1600人ほど。最前線がこんな有様なわけですから、気が付いたら合法的な移住で島を乗っ取られていたということも起こりかねない状態にあります。
だからといって諸手を挙げて歓迎できない事実もあります。日本では新しい部隊が新編されると、なぜかこの国は万歳でもしそうな勢いで報道されます。
先の沖縄への空自第9航空団の新編も同様ですが、筆者は世間の皆様方は「算数」ができないのかと疑いたくなりました。
空自の人員が増員される、装備が増強される等の一切の報道がなく、突然、「部隊を新しく編成しました!」では、頭数が変わらないのに部隊を創るわけですから、これまでの部隊の人員が削られているのはわかりきったことです。人員だけでなく装備までも削られているので、手薄になった地域が生まれることになります。
本土では「戦争法反対!」「自衛隊を殺させない!」などと声を荒げている人たちがいますが、現実を無視したこうした発言を耳にするたびに虚しくなります。
与那国島に部隊を配備したことは間違いではありません。しかし、現実的な面に目を向けると、長期的な戦略に立って部隊等の新編や配置を計画されなければなりません。
今まで、何も起きなかったのは奇跡であり幸運なだけだったのです。
時代によりヒトは変わります。国によっても違いますが、21世紀の幕開けと同時に起きた9.11などは典型的なものです。
それまで良好な関係にあったはずのアメリカとイスラム教国家が、9.11事件後、アメリカVSイスラム教国家からキリスト教国家VSイスラム教国家となり、ネットの情報の氾濫で中東諸国に民主革命の嵐が吹き荒れ、世界は混沌としています。
時代の変化に付いていけるか。付いていこうとするのか。それを日本は問われているのです。それが、ようやく手を付けた与那国島への自衛隊の配置です。
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