元自衛官の憂い The third
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03251439 | 徴兵制は閉ざされた特殊な国家で行われることではない |
徴兵制というと、なぜか日本では特殊な社会構造の国を連想しているようです。国民だけでなく、前回、ご紹介した政府答弁書でも明らかなようにお国の政府までそう認識しているのですから笑ってしまいます。
今日は、主要な国の兵役制をご紹介します。
アメリカ合衆国
ベトナム戦争終結後の1973年以降徴兵制を停止しています。が、しかし、選抜徴兵登録制度「セレクティブ・サービス・システム」に基づく登録制が1980年に復活しています。合衆国在住の市民権/永住権を持つ男性は18歳になった時点で郵便局で登録の義務が課せられています。
イギリス
志願制度で必要な兵員を確保できており、第一次世界大戦開戦の1年半後、兵士不足を補うためにイギリス史上初の徴兵制に踏み切りますが、第一次世界大戦終結と同時に志願制に戻されました。第二次世界大戦が勃発した1939年9月に徴兵制を復活させましたが、1960年に廃止されました。
イギリスは軍人が国民から尊敬されますが、兵役拒否者を臆病者として社会から指弾される風土があり、兵役拒否者は極端に少ないお国柄があります。その一方で、良心的兵役拒否が法的にも制度的にも認められていました。
フランス
フランスは国民皆兵による徴兵制発祥の地です。国家は国王のものではなく国民のものであるという認識から、戦争は王や騎士という一握りの存在ではなく主権者である国民全員で担うという考えから生まれたものです。1990年代半ばから段階的に徴兵制を廃止しました。
ドイツ(統合後)
統合後、兵役期間が短縮され2002年1月以降は9か月とされてきました。基本法で良心的兵役拒否者は兵役に代わり老人介護施設での介護作業に従事することが義務付けられていました。これも2011年6月以降徴兵制は廃止(ドイツでは「中止」とされている)されました。
イタリア
2000年に徴兵制廃止。
ロシア
ロシアの実情は興味深いものがあります。
ロシアでは徴兵/志願制を両立させていますが、徴兵制は富裕層の子弟の間で合法・違法な徴兵忌避が行われています。
他の先進諸国に比べ極端に兵士の給与が低く、新兵に対するいじめ、劣悪な食糧事情、居住環境の悪さなどが影響していると思われます。そのため、兵役に就く者は対象者の1割以下。多くが字が読めない、犯罪歴のある者、健康に問題のある者などといわれています。
志願制に転換したいのが山々ですが、志願制となれば給与を上げなければならず、財政的な問題から完全志願制にはできないようです。
世界的に徴兵制が廃止されているのが実情です。民主化とか言う理由からではありません。徴兵制による国民皆兵(国民全員で国防を担う)よりも、現代の兵器がハイテク化され兵士の数が勝敗に影響するという時代ではななくなったからです。
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