元自衛官の憂い The third
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12071415 | シリア情勢を占う |
残虐なテロリスト集団ISですが、筆者は“突然”現れたように記憶しています。現れたと思ったら、イラク国内に占領地を広げ、政情不安定のシリアに侵入し占領地を広げていきました。
テロリスト集団といっても、活動するには「武器」が当然必要であり、食うや食わずで活動もできないため「カネ」も必要です。
2013年9月、シリアの反体制派とアルカーイダが停戦に合意したとのニュースが流れました。
日本人にとっては聞き流すニュースですが、テロリスト集団が反アサド側に立ったという事実を伝えるニュースでした。
西欧諸国やトルコは、悪の独裁者アサド大統領と民主主義を求める反アサド派と喧伝し、相応の演出をしてきました。西欧諸国やトルコが支援する反アサド派にテロリスト集団が加わったことになるのです。
反アサド派を支援したのは、西欧諸国にトルコ、サウジアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦、カタール。いずれも「スンニ派」で、アサド政権は「シーア派」の流れの「アラフィー派」で、シリアに「スンニ派」の政権樹立を狙っています。
ロシア空軍機を撃墜したトルコを、ロシアがテロリストの仲間と批判するのはこうした事実からなのです。
情報の一部には、反アサド政権に50億ドルの資金と大量のあらゆる武器が供与されたとするものまであります。50億ドル…6000億円を超える金額です。この情報を信じれば、情報では2012年初めだとされ、ISが著しく戦力を高めたのが2014年前後ですから偶然の一致なのか、それを基にした推測であるかはわかりませんが、こうした情報も流れているのがシリアの情勢なのです。
今後、シリア情勢はどうなるのか。西欧をはじめとして反アサド国家、そしてロシアはシリアをどうしようとしているのか。
フランスはIS壊滅に動き出しており、西欧とロシアの調整役に回り攻勢を維持もしくは強めていくでしょう。これまで、シリアやISに対する空爆でも、それほど目立った戦力を投入していなかったフランスは、これまでと違い大きな規模、地上軍の派遣さえ臭わせています。欧州全体としては、難民問題をどうするかが先になるでしょう。難民を受け入れることは隠れ戦闘員(便衣兵)を受け入れているのと同じだと解されるようになれば、当然、大幅な難民受け入れが規制されることになるでしょう。
ロシアは、クリミアやウクライナでの汚名をそそぎ、西欧の「敵」から一転して西欧の「同士」となります。ロシアの情け容赦のない空爆は、1年近く空爆を継続してきた有志連合と違い、かなりの効果を上げているようです。西欧の同士となれば、ヒトラーとさえ呼ばれたプーチン大統領の立場は大きく変わり、IS殲滅に一層傾注することでしょう。
ようやく世界はIS壊滅に動き出しましたが、宗教に根差した抗争は簡単に解決すものではありません。ISが仮に殲滅されたとしても、テロは続くことでしょう。
将来は明るくはありませんが、少しだけですが光明が見出せた可能性はあります。
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