元自衛官の憂い The third
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07260958 | [PR] |
12091417 | 便衣兵 |
オランド仏大統領のベルサイユ宮殿での上下両院合同会議演説を伝えるニュースを見て、2001年の9.11後のブッシュ大統領の演説に似た内容に感じました。
現実問題として、世界は9.11テロ後のアメリカの暴走を止められませんでした。その後も、アメリカの行動を問題視せず、解決しなければならない事から目を背けてきました。
アフガン戦争では決着がつかず、イラク戦争では開戦理由が与太話だったなど、世界が向き合わなければならない問題があるにもかかわらず無視し続けてきました。
パリでの同時多発テロで、再び同じような状況を呈していますが、今回はそうした問題をどう扱おうとしているのか、不幸なことですが全く見えてきません。
戦略的にカオス状態のISにとって、ロシアまで巻き込むことになり、壊滅打撃を受けることになるとは思いますが、様々な問題点を解決せずに前進することは近い将来、同じ状況を生むことにもなる可能性があります。
筆者はISに参加する若者たちがピーターパン・シンドロームだと考えていますが、こうした若者を生んでしまうのは、テロをどう解釈するかという概念が世界のどこにもないことも理由の一つだと考えます。
アメリカはテロを「新しい戦争」と呼び、アフガン戦争に踏み切りました。テロを新たな国際法上の「戦争」形態に加え、テロリストを交戦資格者ではないと解釈するための方便でした。
「便衣兵」という言葉をご存知でしょうか。一般市民にまぎれ、各種敵対行為を実行する軍人のことです。これは、国際法違反で、捕虜となっても処刑が可能となるからです。陸戦法規による保護が適用されることはありません。
アメリカはアルカイダ憎しで、無条件で殺害可能とするために、こうした情報操作を行ったと見られます。
「便衣兵」は攻撃される側にとっては非常に厄介な存在です。民間人なのか軍人なのか、判別できないだけでなく、戦闘終了後、便衣兵の犠牲が多く出れば、状況を写真に収め「民間人虐殺」と宣伝できます。これは、日本が苦渋を飲まされた中国との戦争で起きている事実です。
つまり、便衣兵に攻撃される側には厄介な存在であり、便衣兵で攻撃する側にとっては戦死しても使える兵隊が便衣兵なのです。
ですから、無人機による攻撃で「民間人犠牲者」とされても、実際に戦闘行動に加わっていなかった証拠にはならないのです。
こうしたことが、テロとの戦いを厄介にしているのです。
筆者はフランスによる報復攻撃もやむを得ないと認識していますが、ISは多くの遺跡を宗教上の理由から破壊してきました。ISは人類共通の「敵」であるにもかかわらず、世界が結束して戦おうとしてきませんでした。
そのツケが今、払わされようとしているのです。
テロを国際法的にどうするか、幅広く議論され、宗教が争いの種になることは避けるべきとの模範解答を導き出さなければならないのですが、それがいつ行われるのか急がれていると筆者は考えています。
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