元自衛官の憂い The third
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12111317 | 遊撃戦(ゲリラ戦)から見たテロリストとの対峙(退治) |
1808年に始まった半島戦争でスペイン軍やスペイン人民衆の採った作戦をゲリーリャと呼んだのが、ゲリラの語源です。スペイン語では、「小さな戦争」という意味だそうです。戦術としては古代から存在していました。
日本では警察庁が、施設などを標的にした攻撃(対物攻撃)を「ゲリラ」、個人を標的とした対人攻撃を「テロ」と区分しています。
ゲリラ戦は少数となった側が、支持者や地の利を得て小規模な攻撃を効果的にかつ反復して行い、優勢な敵に対して消耗戦・神経戦を展開することを目的としています。軍事的には大きな損害を相手に与えられないため、優勢な敵側から弾圧や報復も行われることを覚悟しなければなりません。
ゲリラ攻撃する側は「前線」がないため、いつ・どこでも攻撃が可能で、ゲリラは自分の所在、計画が露見しないようにしてさえいれば、有利に攻撃することができます。
筆者はISの西欧諸国に対するテロ(と呼ばれる行為)が、完全にゲリラ化してしまっている懸念を持っています。
ロンドンでナイフを持った男が3人を刺して負傷させましたが、男は「シリアのため」と叫んでいたとテロとして捜査されるようですが、ここまでくるとアイドルの私生活を荒らす「私生ファン」と同じで、さらに警戒を要します。
こうした私生ファンとなれば、対処はさらに厄介になります。誰が「私生ファン」かなどわかるはずもなく、周囲は疑心暗鬼になり差別や謂れのない誹謗中傷を生むことに繋がります。これをISが狙っていることも考えられます。
ゲリラ戦でさえ厄介なのに、テロ攻撃を防ぐことは不可能に近い状況です。
戦い抜き勝利するには、行政、軍事が柔軟に対応できる信頼の厚い政府が必要になります。力による圧倒だけでなく、様々な情報収集、宣伝工作、様々な階層からの支持を取り付けなければなりません。
テロリストと民衆の乖離政策、不満の解消、標的にされる側の不安解消、差別感の縮小、軍事面では本拠地への不断の攻撃、軍隊の効果的配備を可能とする作戦能力が求められます。
政府はテロと戦い抜く覚悟、国民はテロに打ち勝つ覚悟を持たなければゲリラ戦に勝利することはできません。
ゲリラ戦に対抗するためには10倍の兵力が必要だといわれています。これは、第二次世界大戦後のギリシアで共産ゲリラと戦ったギリシア政府軍が10倍の兵力を投入し制圧できたことから使われるようになりました。
この10倍の兵力という数字が正しいとは言いませんが、ゲリラ戦に対抗するには「重要施設の警備」「広域の警戒」「直接戦闘」といった様々な面に人員を割く必要があり、鎮圧する側は大量の兵力を投入する必要があります。
ゲリラを殲滅するためには、支援を絶つことが最も重要なことです。
IS殲滅では、国境の封鎖をまず行うべきことです。それができるかできないかで、ISがどうなるか分岐点となることでしょう。
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