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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/26/09:48

06170127 日本は試されている

ホルムズ海峡を航行中のタンカー二隻が攻撃を受け、船体が損傷しました。うち一隻はケミカルタンカーで日本の海運会社により運航されていたもので、日本国内に波紋が広がっています。
 
私は陰謀説信者ではないつもりですが、今回の事件をイランが企図したものだとアメリカは非難していますが、現在開示されている証拠は証拠といえるレベルのものではなく、イランの存在を裏付けるまでは至っていません。
 
この攻撃に日本に対する攻撃にあたるとする意見が見られます。お勉強不足です!
 
日本の海軍会社が運航している=日本の船かというと、そうではありません。
 
そこで、まず「旗国(きこく)主義」ということをご説明します。
 
地球の海は70%を超える面積を持っています。残りの約30%が陸地ですから、陸地はさほど大きくはありません。海には「公海」と「領海」という考え方が適用されています。
 
「公海」はどの国にも属さない、誰もが自由に使える海域です。「領海」は領土に接する海の延長上に設けられる海域です。領土の延長上ですので、領海はその国の領土と同じとされます。領海は3海里とされ、約5,556m(5.5km)しかありません。
 
公海はどの国にも属さない→いかなる国の主権を及ぼさないということになります。自由に使える海域=無法地帯となってしまいます。公海で秩序を維持するために考えられたのが、公海を航行する船舶はその船の船籍登録された国が管理し、公海の秩序維持を図ってきました。これが、「旗国(きこく)主義」と呼ばれるものです。
 
公海を航行中の船舶に、その船舶の船籍登録先の国の法律が適用されるというものです。船舶の旗国主義にならい、航空機でも同様の考え方が適用されています。
 
日本の刑法でも、自国船舶・自国航空機内における犯罪に対し、国籍を問わず自国の刑法を適用するとしています。
 
今回、攻撃を受けた日本の海運会社が運行していたタンカーは、パナマ船籍のため攻撃を日本が攻撃された見なすことはできません。日本の会社がパナマに支店を出店し、そこで事件に遭ったと考えるとわかりやすいと思います。どこかの野蛮な国のように、「愛国無罪」は通用しないのです。
 
ご説明した通り、パナマで起きた事件だと考えてください。岩屋防衛相が記者会見で、「極めて重大な関心を持って情報収集を続けている」「現時点では自衛隊へのニーズは確認されておらず、本事案に対処するためにホルムズ海峡付近に部隊を派遣する考えはない」と語りました。
 
これっておかしな発言です。“日本企業が運航するタンカー”ではありますが、あくまでも主権はパナマにあります。自衛隊派遣を云々するのは、パナマで起きた事件にパナマの警察は信用できないから日本の警察が捜査するというようなものです。これを国際常識では「主権侵害」と言います。
 
会見で岩屋防衛相は「現時点では自衛隊へのニーズは確認されておらず、本事案に対処するためにホルムズ海峡付近に部隊を派遣する考えはない」と語ったそうですが、そもそも日本がしゃしゃり出る理由も無いのに、なぜこのような発言をしたのでしょうか。仮に記者の質問に答えたとすれば、記者も岩屋防衛相も「旗国主義」を知らないことになります。
 
ヨーロッパで船舶事故があり、その事故で多くのとある国の人が犠牲になりました。この事故を受けて、潜水救助チームをわざわざ派遣したとある国。自国民を救助する名目はわからなくはありませんが、事故の起きた国にも相応の専門家チームがあるはずで、そこまでするのはおこがましいと私は思いました。「友達なくすよ」そんな言葉をとある国くに掛けて上げたいです。
 
日本も一歩間違えば、ホルムズ海峡の事件でおこがましい行動に出る可能性があります。国として、責任を果たすために犠牲になる人材は必要悪ですが、必要なのは事実です。ボタンを掛け違ったまま事態の推移に応じていると、責任だけでなく信用すら失ってしまいます。
 
旗国主義を知らない防衛大臣、旗国主義を知らず防衛相に群がる記者。日本の将来は、明るいものではありません。私たちが注意を怠ったら、事は一気に進みます。

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