元自衛官の憂い The third
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09141047 | ワイツゼッカー演説とユダヤ人迫害と中韓の指導者たち |
日本国内、中国から「日本はドイツを見習え」と指摘されることがあります。
中国にとっては日本攻撃の材料ですから、何でもありですからいいのですが、国内からまで「ドイツを見習え」というのは無理があるにも程があります。
ドイツを見習えというのは、1985年5月8日ナチス・ドイツ降伏の日(1945年5月8日)に行われたワイツゼッカー大統領(当時)の演説を引っ張り出してきてのことです。
でも、演説の内容を読むと、ドイツ人のしたたかさと言いますか、日本人には無い狡猾さが浮かんでくるのは、筆者が日本人だからなのでしょうか。
中国(韓国共にですが、韓国は割愛します)がワイツゼッカー演説を持ち出すのは、「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります」という一節です。朝日新聞も取り上げています。テレビメディアでは、TBSが取り上げたと記憶しています。
中国は、「ドイツはこんなにも反省しているのに、日本はまだまだ反省が足りない!」と言いたいのです。
しかし、演説の全文を読んみると、中国が持ち出すものとは違った意味が含まれていることがわかります。
「歴史の中で戦いと暴力とにまき込まれるという罪——これと無縁だった国が、ほとんどないことは事実であります。しかしながら、ユダヤ人を人種としてことごとく抹殺する、というのは歴史に前例を見ません。この犯罪に手を下したのは少数です。公けの目にはふれないようになっていたのであります」
〝この犯罪に手を下したのは少数です。公の目には触れないようになっていたのであります〟
ユダヤ人などの殺戮は「少数(ナチ)がやったこと」であり、「公の目に触れないようになっていた」とは、一般国民は知らなかったと読み取れます。
1933年3月28日、ナチス組織に対しユダヤ人に対するボイコット命令を発しました(「反ユダヤ主義的措置の実行に関する指令」)。4月1日から3日間かけ、私服のナチ党員がユダヤ人の経営する会社や商店の営業を妨害。店舗等の破壊だけでなく、ユダヤ人経営者への暴行も行われました。警察にはあらかじめその場をパトロールしないよう指示が出されいました。
これだけではありません。4月7日には「職業官吏団再建法」が制定され、共産主義者、ユダヤ人を含む非アーリア人とされた人たちが公職から追放されました。その後、弁護士、大学教授、医師、徴兵対象者にまで追放が及びます。
『命のロウソク』(ソリー・ガノール著)
著者は杉原千畝氏と関わりのあったユダヤ人で、少年時代の思い出を綴ったものです。
1933年1月30日、アドルフ・ヒトラーが政権の座に就くと、「それまでユダヤ人に対して、一般的には友好的だったハイデクルークのドイツ系住民が、われわれに冷たくなりだした」と書かれています。
ユダヤ人差別からやがて民族殺戮へと発展しますが、このようにドイツ人はナチに従ってユダヤ人を差別したことがわかります。
「一民族全体に罪がある、もしくは無実である、というようなことはありません。罪といい無実といい、集団的ではなく個人的なものであります」
これは、ナチによる人道に対する罪は、ドイツ人ではなくナチの少数の指導者たちに罪があると言ってのけているのです。
「今日の人口の大部分はあの当時子どもだったか、まだ生まれてもいませんでした。この人たちは自分が手を下してはいない行為に対して自らの罪を告白することはできません」
ナチに責任はあってもドイツ人に罪はないとしながら、
「罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません。全員が過去からの帰結に関り合っており、過去に対する責任を負わされているのであります」
罪はないが責任は負っているとしています。
ドイツの戦後政策は、いち早く責任をナチ(ヒトラー)に押し付け、大袈裟かもしれませんが、自分たちも被害者を装ったと見るべきではないでしょうか。
日本も一時期、「軍部」に戦争の責任を押し付けようとしました。それが、やがて「陸軍」と名指しするようになりましたが、様々な見解が出されるようになり曖昧な状態に陥っています。
筆者が気になっているのは、ホロコースト=ユダヤ人大量虐殺とだけ認識されていることです。
ナチは、ユダヤ人だけでなく、危険分子(反ナチ)、スラブ民族、共産主義者、身体障碍者、同性愛者、ロマ人などまで虐殺の対象としていたのです。
身体障害者は安楽死させられ、人体実験、断種不妊手術などまで行ったのです。
日本人はこのようなことをしたでしょうか?
中国共産党は「南京事件」を持ち出すでしょう。しかし、南京事件がホロコーストかと言うと、そうではありません。むしろ、日本軍が行ったことさえ詳細な記録は無いのです。
筆者は虐殺を否定するものではありません。ただ、当時の日本軍の補給から考えると、大量虐殺は不可能な状況にあり、ゲリラ(便衣兵)掃討を目的とした非戦闘員の殺害の可能性までは否定できないと考えています。
中国が歴史を持ち出すのであれば、中国国内で行われた日本人の虐殺事件の説明をすべきですし、日本も説明を求めるべきです。
曖昧にしたままで、謝罪すべきではありません。
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