元自衛官の憂い The third
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07270156 | [PR] |
01250953 | 今さら… |
自衛隊の中古装備品が無償で他国に譲渡可能になります。これまでは、財政法で「国の財産は、適正な対価なくして譲渡、貸し付けてはならない」と規定されおり、用途廃止になった自衛隊の装備品は良くてスクラップ、護衛艦などは標的艦にされるだけでした。
日本では「武器輸出」と言えば、「死の商人」だと罵られますが、実は外交ツールとして立派に機能するものです。
陸海自衛隊ではそれほどではありませんが、空自はアメリカ製戦闘機にご執心です。これはこれで構いませんが、武器輸出国と武器輸入国の関係は外交的に隷属関係となってしまいます。目に見える隷属関係ではないため、あまり理解は広まっていません。
たとえばロシアの武器輸出先としてインドがトップになっています。
仮にインドが周辺国に侵攻を計画した場合、それを妨害するためにロシアは武器輸出の停止を決めます。すると、インドは侵攻計画を中止しなければならなくなります。
武器が使用される環境は過酷な状況です。戦闘機などは重量の何倍もの重力下で使用され、修理する部品などの供給が断たれれば軍事作戦などできなくなります。
武器の部品はそこいらにある物品で代用できるものではありません。精密部品でもあり、長期的・安定的に入手できることが最重要事項になります。
自衛隊がアメリカ製の武器にこだわるのは、自衛隊がアメリカ軍(政府)に対し忠誠を誓っているのと同じなのです。
インドのロシアの関係ですが、中国はインドに武器輸出していません。インドと中国は領土問題などで係争中で、相手国に武器を輸出することは国益となりません。中国はインドと係争中のパキスタンに多くの武器を輸出しています。当然です。
ロシアと中国が接近していますが、ロシアがインドに武器輸出する限り、ロシアは中国を信用していない証拠となります。
フィリピンがアメリカからの武器輸入を拒否され、中国とロシアが武器供与すると名乗りを挙げました。中国は南シナ海でフィリピンを黙らせることが目的であり、ロシアは新たにフィリピンとの関係を築くことが目的であることがわかります。フィリピンをアメリカ側から、ロシア側にするための外交ツールなのです。
日本政府は「死の商人」と罵られるのを嫌い、外交カードを手にしないままで来ました。ようやく、外交カードを手にするわけですが、お高い日本製の武器を買ってもらえるか疑問です。ですから、中古品でも供与すれば状況は有利になります。「今さら」というのが筆者の実感ですが、トランプ大統領就任で日本がどのような立場に立たされるかわかりません。武器供与(輸出)が芥川龍之介の「蜘蛛の糸」と同じならないことを願うだけです。
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