元自衛官の憂い The third
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12131107 | 北方領土の正しい理解~解決できないわけ~ |
日露首脳会談で「北方領土返還」が現実味を帯びてきたかのような期待が広まっていますが、実はそう簡単に事は進まないのです。
それを理解せず「返還」だけが独り歩きしており、実現しないと落胆だけが広まります。北方領土返還よりも、「竹島」を軍事作戦で奪還した方が、より北方領土返還に現実味が増すというものです。なぜか、日本政府は「竹島」には返還について強い主張はしていません。
日本政府は1945(昭和20)年2月、ヤルタ会談においてヤルタ協定を無視しています。日本政府はソ連が1941年に結ばれた「日ソ中立条約」違反を主張しますが、ヤルタ会談では秘密協定が結ばれソ連の対日参戦によりソ連に千島列島の引き渡しが約束されていました。国際社会では、このヤルタ会談(ヤルタ秘密協定)からの議論が認められており、日本政府が主張する日ソ中立条約違反からの反論は認められません。これは、無理解なのか日本政府による国民を情報操作しているのかはわかりませんが、出発点が間違っていることは事実です。
日本はポツダム宣言を受諾し連合国に降伏しましたが、1945年9月2日、日本政府は東京湾上で無条件降伏文書に署名し正式に降伏します。
1951年9月8日、日本はアメリカ合衆国をはじめとする連合国諸国との間に戦争状態を集結させるために平和条約が締結されました。「サンフランシスコ講和条約」とも呼ばれるものです。
この条約で日本政府は「千島列島・南樺太の権利、権原及び請求権の放棄」の項目があり、現在、日本が主張する「北方領土」は放棄されたのです。
知ってました?
日本政府/外務省は、これを無視して「返せ! 返せ!」と連呼しているわけですから、ロシアから見れば鬱陶しいだけです。
日本政府は北方4島が日本固有の領土であり、千島列島の範囲に含まれていないとし、米国もこれを支持すると主張しています。これは、サンフランシスコ講和条約署名後、国会で外務省条約局長(西村熊雄)が、「千島列島の範囲は北千島と南千島の両者を含む。その一方で歯舞と色丹は千島に含まれないことはアメリカ外務当局も名言している」といった趣旨の答弁を行っています。
この主張はいわば、日本政府/外務省の独断と偏見からなされた主張です。
この独断と偏見が対ソ(露)交渉が進展しない大きな要因なのです。地理的に見ても、千島列島に択捉島・国後島が含まれているのは明白です。
外務省のウソの始まりです。ソ連はサンフランシスコ講和条約に署名しませんでした。外務省はこの事実から、「国後・択捉両島は放棄していない」と主張するようになります。完全なフィクションです。
余談ですが、杉原千畝氏を葬ったほどの外務省ですから、この程度のすり替えなど平気の平左です。杉原氏の功績を讃え、国際世論に訴えれば、日本は今と違った国際的な地位を獲得できたことでしょう。
このような事実を無視して、条約違反のソ連が北方領土を返さないという情報操作を行い、多くの日本人はそれを信じているのです。
情報操作されたまま、日本政府は交渉に臨むわけですか解決するはずがありません。冷戦期にも入り、日ソ交渉には米国という壁が立ちはだかるのですから、解決などほど遠くなってしまったのです。ソビエトに接近する日本を、米国は黙って見ているはずはありません。明らかにはされていませんが、様々な外交的圧力が加えられていたのは事実です。
これで解決できない理由がわかっていただけたでしょうか。
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