元自衛官の憂い The third
![]() (08/07)
(08/01)
(07/29)
(07/20)
(07/12) |
|
07260338 | [PR] |
09221026 | 安全保障法制反対の人たちへのお願い |
安保法制に反対です
筆者は成立した「安全保障法制」には反対と何度か明らかにしてきました。
でも、なぜもっと強くアピールしなかったのかと言うと、今回の反対運動があまりにも論理が飛躍していて支離滅裂だったためにしらけてしまったのです。
国会での議論、反対派の主張を見ていると「憲法違反」という言葉がしきりに使われています。
「憲法違反」を言うのであれば、筆者は“自衛隊”も憲法違反の存在だと思うのですが、法制反対派は法案が成立すると自衛官の身に危険が及ぶと懸念するのですが、そもそも、アンチ自衛隊だった方たちが、どういう理屈で自衛官の身の上の心配までするのか見当もつきません。
法案が成立すれば、様々な予算措置、慢性的人員不足問題を抱えたまま任務が増える現実、根本的問題が全く出されないまま「憲法違反」を振りかざし“反対”を叫ぶ人のどこに賛同しろというのか、筆者は全くわからなくなりしらけてしまったのです。
集団的自衛権行使が憲法に抵触するというのであれば、その根源的な問題である「日米安保条約」の破棄も訴えるべきですから、反対する理由はたくさん挙げられるはずなのです。ですが、現実はどうであったかは、説明はいりません。
Y本T郎氏など、日米安保を持ち出していましたが、それを廃棄すべきとは絶対に言いませんでした。共産党や社民党も同じです。傑作だったのは、社民党のF島M穂氏です。禅問答のような批判ばかりで、何を言いたいのかわかりませんでした。
民主党にしても、「集団的自衛権の行使一般を容認する解釈に変更することは許さない」と主張しており、裏を返せば「限定的集団的自衛権行使容認はやってもいい」と解されます。
日米安保条約を突き詰めれば、日本を侵略する戦争があれば、アメリカは共に戦いますというものですから、憲法第9条に照らせば、これもまた「憲法違反」のはずなのです。
このように、世間が大きく取り上げる反対派と呼ばれる人たちは、論理的でないばかりか一貫性がないのです。
まだあります。反対派の一部には創価学会の信者まで出てきて、「私たちが応援してきた公明とは間違った選択をしている」と言ってのけました。
政教分離に関わるような話ですが、よくよく考えたら、創価学会は宗教団体ではなく信徒団体なんですね。日蓮正宗から破門された信徒の集いですから、政教分離は問題ありませんでした。
なぜ、このような論理的でない反対運動になったのかを考えると、反対派の中にも実は中国が脅威であると認識している人が少なからず存在しているからではないでしょうか。
冷戦時代を経験しているので、皆さんに言っておきますが、冷戦時の対象国(自衛隊では仮想敵国をこう呼びます)はソ連でした。ランク付けされていて、露華鮮の順だったか、忘れましたが、この3つの国の語学を学ぶのは選ばれたエリートたちでした。
でも、現状では冷戦当時のソ連の脅威とは異質のものがあります。ソ連はどこか牧歌的と言いますか、我々が抱くイメージ通りの酒飲みおやじ的なところがあって緊迫感はそれほどありませんでした。「米ソが戦争になれば…」といったところでしょうか。
当時、スクランブルで上がった空自戦闘機に偵察機や爆撃の乗員が手を振ってくれたり、日本海を通過するソ連艦隊を監視する海自艦艇に手を振ったりと、緊迫感はそれほどありませんでした。でも、しっかり彼らは機銃や艦載砲を向けていましたが…。
昨今の中国は、そんなことなど全くありません。明らかに敵対していると印象付けをするようなことを平気でしてきます。脅威度は雲泥の差です。
軍事的解釈をすると、戦後日本の歴史はすでに何度か「集団的自衛権」を行使しているのです。
朝鮮戦争、ベトナム戦争、そしてイラク戦争です。
国会では政権与党と野党の不毛な議論ばかりですが、これらの戦争をアメリカと戦った側から見れば一目瞭然です。アメリカに協力しているのですから、余力があれば日本を叩くことさえ考えたでしょう。
北朝鮮がなぜ日本に核ミサイルで恫喝するのでしょうか?
それは、朝鮮戦争ですでに明らかなように、日本は集団的自衛権を行使していたと解釈しているからなのです。
反対派の皆さん、小細工はいりません。現実を伝えてください。事実を伝えてください。
仮に、近い将来、自衛隊が集団的自衛権行使で派兵されたら、無事に帰還できてもベトナム帰還兵のような辛酸嘗めることになりかねません。
現実を知り、事実を広め、そこから日本が進むべき道を選択するよう働きかけてください。よろしくお願いします。
- +TRACKBACK URL+