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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/27/15:20

04290819 平成の出来事

平成は日本に戦争の無い時代でした。表面上は「平和」を享受した時代ですが、国の防衛面から平成という時代は激動の時代であり、日本にとって転換点となった時代でした。
 
平成3年1月17日アメリカを中心とした多国籍軍によイラク空爆と巡航ミサイルによる攻撃が始まりました。クウェートに侵攻したイラクへの攻撃でしたが、イラク軍によるクウェート侵攻は前年の8月で、一時は戦争の危機が叫ばれていましたが、侵攻から約4ヶ月後の攻撃はまさに奇襲作戦でした。開戦時、CNNの中継が世界中に配信され現代戦の恐怖が見せつけられました。
 
湾岸戦争は日本に戦場に立つようにアメリカが求めた初の戦争であり、アメリカの要求と戦後のクウェートなどの反応が、日本の政治家にトラウマを植え付けることになりました。
 
日本は中東諸国から大量の原油を輸入しています。アメリカ政府はこれを理由に戦費負担と共同行動を求めてきました。日本政府は当初、軍需物資の輸送を予定し、民間海運会社に輸送を依頼しましたが、海運組合がこれを拒否します。海路がダメならと、空路で日本政府が雇用する外国人医師、看護師等を近隣国に派遣しようとしますが、今度は輸送を依頼された日本航空労組がこれを拒絶します。政府はアメリカのエバーグリーン航空のチャーター便で対応しました。
 
慌てた政府は「国連平和協力法案」を提出しますが、社会党と自民党ハト派が反対し廃案になってしまいます。平和ニッポン万歳!です。
 
一方で、日本の歪んだ平和観も明らかになります。左翼作家などを中心とした文化人が、多国籍軍によるイラク攻撃を開始前からデモで反対を表明していました。やった者勝ちを認めろとでも言うかのような平和思考です。当時、今では動静が伝えられませんが、長野県知事も務めた田中康夫もその一人でした。
 
日本政府は多国籍軍に10億ドルの資金拠出を決定。翌月にも10億ドルを追加拠出。周辺国に20億ドルの経済援助。開戦後は多国籍軍に90億ドルの資金提供を決め、合計で130億ドル。さらに、為替相場変動分として5億ドルを追加しました。しかし、アメリカや多国籍軍参加のヨーロッパ諸国から〝カネだけ出す〟日本政府に非難が集中します。当時、ドイツも日本と同じ対応資金提供だけでしたが非難はされませんでした。アングロサクソンの悪弊です。異人種排除と同じです。日本政府に衝撃が走ったのは、戦後になってクウェートの感謝広告にドイツが挙げられていましたが、日本の国名はありませんでした。さらに、クウェートの感謝決議、ワシントンポスト紙の感謝広告でも日本の国名は無かったのです。
 
後に国会で明らかにされますが、日本が拠出した約1兆2000億円の内、ほとんどがアメリカの手に渡っていたのです。アメリカがせしめた金額は1兆700億円以上と言われています。
 
面白いのは同盟国を名乗るタカリ屋アメリカを追及するのではなく、保守層(自民党内・外務省・文化人)から〝人的貢献をしなければ世界から非難される〟という声が上がったことです。マトモな神経をしていれば、タカリ屋を追及した後にしかるべき回答を待ち、その上で人的貢献を思考するはずです。
 
日本政府は自衛隊の任務拡大に踏み出します。戦場に自衛隊員を立たせることを決断した瞬間です。安保法案に反対した日本共産党は「戦争ができる国」になると騒いでいましたが、実はこの時がまさに戦争ができる国になろうとした瞬間だったのです。ちゃんと勉強しろ!
 
国連平和維持活動(PKO)参加を可能とするPKO協力法が国会で論議された時、当時の中山太郎
外相は、感謝広告に日本の国名が無かったことを引き合いに出し、「人命をかけてまで平和のために貢献することが国際社会から敬意と尊敬を集める」と答弁しました。人命とは自衛隊員の命であることは言うまでもありません。これで明らかなように、この時点で日本政府は自衛隊員を戦場に立たせることを決意したのです。
 
個人的には世界に貢献するために、日本の若者たちの血が流れることは必要悪だと考えます。しかし、私が懸念するのは自分たちの政治力・外交能力の欠如で、その尻拭いに自衛隊員の命を使うというのは大きな間違いです。
 
令和が始まると、いの一番に国賓としてアメリカのトランプ大統領を迎えることは、湾岸戦争後の政治家と同じで、自分の能力の無さをご機嫌とりに使おうなどという腹づもりなのではないでしょうか。私は安倍さんは信用できないので、どうしても疑ってしまうのですが、今一度考え直さないと私たちは大きな代償を支払わなければならなくなります。

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