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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/24/04:12

04190337 北方領土問題とF-35戦闘機

北方領土問題について勉強していたのですが、安倍さんのF-35爆買いを見せつけられたら、返したくとも返せない空気がロシア国内に漂ってくるのも当然だと思うようになってきました。




F-35は「ステルス戦闘機」です。アメリカが唯一輸出を認めたステルス戦闘機です。高性能であることは間違いありません。しかし、高性能=日本の防衛に貢献するとは限りません。航空自衛隊(以下、「空自」)はかつての大日本帝国海軍のように「大艦巨砲主義」に頭の中を支配されているようなものです。周りが完全に見えなくなってしまっています。




北方領土問題を出したのでプーチン大統領、ロシアに目を向けてみてください。ロシアでもステルス戦闘機の実用化が進められています。アメリカが一方的にリードしているステルス戦闘機ですが、アメリカに対抗心むき出しのプーチン大統領がステルス戦闘機で焦っているような様子が全く無いのです。ということは、ステルス能力は特筆されるものではないとプーチン大統領は認識しているのではないでしょうか?




安倍さんはF-35をA型、B型合計で140機を超える数の戦闘機を買うとしています。軽く1兆円を超す買い物です。前にも触れましたが、安倍さんがF-35を買うと決めたのは、空自がカタログスペックで決めたことに始まります。カタログを見ればまだ救いはありますが、現実には空自は「ステルス」というだけで買いたいとおねだりしたのです。140機を超す数を揃えるのは、世界でも日本だけです。アメリカのトランプ大統領にシッポを振りすぎです。シッポが取れてしまうのではないかと、老婆心ながら心配になってきます。それに、値段はアメリカ空軍の言い値というおまけ付きです。こんな買い物をするのはバカか、あぶく銭を手にした成金しかいません。




こんな爆買いするから、ただでさえ返す気の無い北方領土ですから、日本に返そうものならすぐに米軍基地を作りかねないとプーチン大統領は思っているでしょう。こんなことしてるから返されないなんて、安倍さんは考えていないでしょう。




私は幕僚監部勤務を経験していますが、あまりにも制服組が官僚丸出しで幻滅したのが退職した理由の一つです。F-35を買いたがった当初、空自はこんな説明をしていました。




(ベトナム戦争で活躍した老兵)F-4ファントムII戦闘機の後継機としてF-35を42機取得するとしていました。それが、次に出してきたのは現用のF-15戦闘機約200機の改修不可能な機体100機分の代替としてF-35を導入すると変更しました。官僚の逃げ口上です。最初から狙っていたのです。




防衛省(空幕)はF-35の導入で、質的優位に立てるとしていました。わかりやすく言えば、F-35が1機あれば(仮想)敵の戦闘機・攻撃機・爆撃機の数機(2〜3機)に相当する能力を持てるということです。空自が100機のF-35を持てば、敵の航空機200〜300機と対抗でき、それ以上の数の航空機を敵が揃えなければ攻撃されず抑止力となるといった考えです。常識があれば、こんな夢物語はあり得ないことくらいわかりそうなものです。目覚めぬまま「大和」「武蔵」を送り出した旧日本海軍とソックリです。アメリカのトランプ大統領に忠誠心を見せるためでもあったのでしょうが、その程度のことで税金を無駄遣いするという考えは、安倍さんの頭の中には国民の「こ」の字すら無い証拠です。




F-35爆買いは「バカ」か「成金」だとしましたが、運用している国が限られており、その数も少なく運用コストすらわからないまま買うことにしたのは呆れるだけです。墜落して日共(日本共産党)が国会で追及していますが、そんなこと導入が決まった時点でやれよ!です。この国は、国会を通さず爆買いを決められるという首相独裁を認めているのは民主主義国家としてあり得ない現実です。




「ステルス戦闘機」と聞けば、空自やミリオタ(軍事オタク)は透明戦闘機であるかのような喜びようですが、その能力はレーダーで捉えにくいというだけのことです。運動性などありません。戦闘機の中でも歴代最高の運動オンチ。速度も気にするようなものではありません。




F-35に乗っていて敵戦闘機の接近に気付かなかったら、鈍足の運動オンチが鬼ごっこで鬼が近くに迫ってきたようなものです。あり得ないかというと、実はそうでもありません。電子戦で効果的な(電子)攻撃を行えれば、F-35に気付かれず接近できます。鈍足な運動オンチですから、多少足には自信があり、運動もそこそこできればF-35を叩き落とすことな簡単です。




「ステルス」とはレーダーで捉えにくいというだけなのです。ステルス性を追求するあまり機体はやっと飛べるか、コンピューター制御で飛んでいるだけ。となれば、エンジントラブルでもあれば墜落ということも起きやすいことになります。自然の法則に逆らっているわけですから、ちょっとしたバランスを崩せばあとは一気に事態は悪化します。




運動オンチで鈍足、レーダーに捉えにくいだけで日本の防衛に役立つのか疑問です。




アメリカのシンクタンクが調査した1950年代からアメリカ軍が空中戦で撃墜した敵機588機のうち、遠距離(視界外)からミサイルを発射し撃墜できたのは24機。4%程度でした。かつてF-14トムキャットが搭載していたAIM-54フェニックス空対空ミサイルは100kmを超える射程を誇っていました。F-14は実戦で敵機を撃墜していますが、フェニックス・ミサイルは一度だけ発射されていますが撃墜記録はありません。フェニックス一発約50万ドル、AIM-7スパロー(中射程)は約15万ドル、AIM-9サイドワインダー(短射程)は約6万ドルと高価な超射程空対空ミサイルは無駄ということになります。戦闘機パイロットは視界内で敵と戦ってきたということです。




F-35の性能が低いというわけではありません。ただ、アメリカ軍のネットワーク内での戦闘であれば、その能力を遺憾なく発揮するでしょう。偵察衛星、情報収集機、通信情報等すべてを統合し事態を掌握して戦闘に加われますが、日本単独でアメリカのレベルの情報収集は不可能です。それを目指しても何年先に実現できるのか。F-35が今現在の脅威に効果があるとは思えません。




●ステルス能力は万能ではない


●ステルスのメッキを剥がせばただの運動オンチ




これを覚えておいてください。

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