元自衛官の憂い The third
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09272002 | 災害派遣のリアル |
台風15号による大規模停電で、自衛隊が災害派遣されました。
実は自衛隊のこうした給食支援や入浴支援は、それほど態勢が整えられているわけではありません。そうした自衛隊の支援を頼るのは、現実としては自治体や政府が全くこうした支援を検討していないという現実があります。
自衛隊は旧帝国陸軍そのままに「兵站」は極めて脆弱です。兵站とは、装備品の調達、補給、整備、修理、輸送、展開、管理運用の総合的なものです。旧帝国陸軍は、兵站を現地調達に頼り、戦後になり略奪などと指摘されるようになってしまいました。
自衛隊が災害派遣されると、自衛官は冷たい食事をし風呂にも入れないと賞賛されますが、賞賛されるのは悪くはありませんが、現実的には自衛隊に高い給食能力があれば、このようなことを現場の隊員に強いる必要などないのは自明の理です。
炊事車がよく注目されますが、炊事車では1両あたり約200名分の食事の準備しかできません。約200名ですから、部隊では1個中隊分の食事の準備しかできないことになります。
もっと言えば、炊事車は野戦用ですので天候によっては別の対応も必要になります。演習では人手が足りず、戦闘部隊から応援が出されます。これが、自衛隊の現実なのです。正面装備(目立つ武器)は高価なものを買い漁る自衛隊ですが、整備しなければならない後方の装備は充実していません。
国によってはコンテナ式のキッチンもあります。野戦用のベーカリーまで保有する国があります。
風呂も大切ですが、シャワーという方法もあるはずです。清潔を保つのであれば、シャワーで十分事足りるはずです。コンテナ式のランドリーも必要となるでしょう。
国産兵器も重要ですが、性能が低く価格がバカ高いものが少なくありません。兵站を担う隊員の数も充足率は低く、有事となれば皆さんが思うほど自衛隊は有効に機能しません。兵站機能を充実させるべきです。
自衛隊・防衛省が訴えるほど、大規模な着上陸戦は起きません。戦略が曖昧なまま、空母など必要なのか疑問です。一部の夢想家高級幹部の夢を叶えることなどあってはならないことです。少数精鋭の最先端装備を持つ部隊編成と、重厚な兵站部隊を整備すべきなのは、戦略にも合致しますし、予想される大規模災害にも対応できる自衛隊となるはずです。
自衛隊は前述の通り正面装備にはカネを惜しみなくかけますが、後方の装備には無頓着です。自衛隊は貧乏なわけですが、さらに監督官庁の縛りが厳しくあります。「軍」ではないので、一行政機関ですから当然かもしれませんが。
例えば、自衛隊が使用する無線には電波管理局による割り当てで決められています。こうした事情が、東日本大震災で無線が通じないなど障害になっています。
私見ですが、筆者は災害時に自衛隊に災害救助を丸投げするシステムに疑問を感じています。なぜなら、自称700万人を超える組合員を誇る「連合」などの団体が、まったく無視しているというのは納得どころか疑問を感じます。1割で良いですから、大規模災害等で苦しむ被災地に救援の手を差し伸べられないのでしょうか。都合のよい時だけ「反対・反対」とぶち上げ、災害などでは頰被りする。これはもう主義主張を超えて、人としてどうかという問題になります。戦争の足音は遠い世界の話ではないのを誰もが実感しています。もう、こうした主義主張ではなく同じ日本人がどうかした場合に、なんらかの手を差し伸べることを考える時が来ているのです。
自治体も自前で、なんらかの野戦用キッチンやシャワー、ランドリーなどを揃えることも検討すべきです。地域や地方で購入して、災害が起きた場合に活用する等の協定を結べば良いのです。国産にこだわらず、輸入すれば国産よりも安く済みます。
予算は捻出できるはずです。知事や県議会議員の外遊を減らすなど方法があるはずです。運用には自衛隊の退職者を雇用するなど、消防団と同じシステムを使えば良いはずです。
自衛隊憎しも結構ですが、平成からの日本を見れば、いつどのような災害がどこを襲っても不思議ではない状況です。そして、好むと好まざるとにかかわらず戦争は身近なものに変わったことも考えるべき時です。
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