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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/27/22:55

03022003 素人が軍を牛耳る国家

日本共産党の志位委員長が、こんなことを会見で言っていました。

国会に提出される見通しの防衛省設置法改定案について、「これまで憲法66条のいわゆる〝シビリアンコントロール〟『文民統制』という大きな枠組みがありました。そして、これまで『文官統制』というこで背広組が制服組をコントロールするという枠があったわけですが、それを外してしまって、統合幕僚長が直に作戦などの問題について防衛大臣を補佐するということになり、制服組が前面に出て自衛隊の運用をやっていくことにいよいよなってくる」。


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 文民統制、いわゆるシビリアンコントロールは日本では誤解が少なくありません。

 ここに来てようやく、文民統制と文官統制を区別できるようになりましたが、これまでは文民統制=文官統制と認識されていました。

 シビリアンコントロールとは、民主主義国家での軍事に対する政治優位、軍事力に対する民主主義的統制を意味しています。

 主権者である国民が選挙により選出された国民の代表(国会議員)を通じ、軍事に対し最終的判断と決定権を持つという民主主義の基本原則です。

 日本ではシビリアンコントロールとは、制服自衛官に発言権はないと理解されていますが、かつての戦争で「軍が暴走した」との認識から、すべてを制限下に置くことで詳しい議論がなされずにこれまで来ました。

 自衛隊は予算、人事、行動に最終的な命令権は、政府や議会にあることがシビリアンコントロールだと解釈されてきました。

 ですから、阪神淡路大震災以降は改定されましたが、大規模な災害が起きて国民に救いの手が必要になってもシビリアンの「命令」がなければ一歩も動けない組織だったのです。

 しかし、東日本大震災のような国家的災害では、全国の部隊を動員することは許されません。

 事実はどうであれ、阪神淡路大震災では首長の主義主張で自衛隊に対し災害派遣を求めなかったということが取沙汰されました。

 このように、日本の軍事組織は党利党略に利用される可能性が非常に高いのです。政権政党の私兵にされる可能性まであるのです。これが、現状での自衛隊の姿なのです。

 文官統制がどういった経緯で生まれたのか、中谷防衛相は文官統制が軍部が暴走した戦前の反省を踏まえて盛り込まれたかどうかわからないとしています。

 これもまた、詳しい議論がなされず現在に至ったために起きていることですが、ここに見え隠れするのが内務省と軍部の争いと同じ図式のことが起きている可能性です。

 昭和86月、大阪市で外出していた陸軍一等兵が市電を目がけて赤信号を無視して交差点を横断しました。

 交通整理中であった警察官が、この一等兵をメガホンで注意し派出所に連行しました。

 一等兵は「軍人は憲兵には従うが、警察官の命令に服する義務は無い」と主張し抵抗。警察官と殴り合いとなり、双方ともケガを負います。

 一等兵の所属する連隊の連隊長は不在、警察署の署長も不在で、上層部にこの事態が伝えられ、連隊の上級部隊である師団参謀が「一兵士と一巡査の事件ではなく、皇軍の威信にかかわる重大な問題である」と声明を出し、警察に謝罪を求めました。

 これに対し大阪府警察部長は「軍隊が平価の軍隊なら、警察官も平価の警察官である。陳謝の必要は無い」と発言し、師団長と大阪府知事との会見も決裂。

 東京では陸軍大臣と警察を所管する内務大臣との対立となりました。

 このように内務省は「軍」を牛耳ろうとする傾向が強く、その証拠に自衛隊創設直後からしばらくの間は内務官僚・警察官僚が防衛庁の官僚として君臨していました。

 誰のための何のための「自衛隊」なのかわからなくなりますが、これがこの国の現実なのです。

 安易に権限拡大は認められませんが、国家を防衛する組織を単なる官庁に貶めてはなりません。

 そして、政治に利用されることも許してはならないのです。

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