元自衛官の憂い The third
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07031350 | 自衛隊と中国軍の衝突を懸念? 煽っているのは日本政府安倍君です! |
日本政府が尖閣諸島周辺の接続水域を中国海軍フリゲート艦が航行した際、日本政府は中国政府に対し「領海を航行した場合、海上警備行動を発令する」と抗議したと伝えられていますが、これって武力行使をちらつかせるつもりだったのか、それとも海自に警察活動を代行させると言いたかったのかわかりません。
そもそも日本政府は9日の接続水域の航行に対し、完全に誤った対応をしました。メディアが、それとなく間違いを指摘すれば救いようもありますが、日本政府と同じように目の色を変え騒ぐだけでした。
日本政府は「日中間の緊張を高める」と言ったつもりなのでしょう。中国海軍の行動は明らかな〝挑発〟だと言いたかったのでしょうが、そもそも抗議に値するものだったのかということは誰も論じていません。
最初に、今回の日本政府の抗議は何ら法的根拠のない言いがかり的なものです。
わかりやすい例として、同時に航行したロシア艦隊はおとがめなしで済ませています。なぜ、中国海軍フルゲート艦1隻が航行しただけで、血相を変えて猛攻撃したのか、それを考えると心情は理解できますが、法的根拠のないチンピラの言いがかりです。
接続水域は原則「公海」です。公海ですから航行自由の原則が保障されています。自由航行を認められている海域を航行したからと、抗議しても聞く耳など持つはずがありません。
日本の接続水域で日本ができることは、出入国、関税、環境汚染対策などの日本の権利が認められるものだけです。それ以外では、日本政府は何も言えません。尖閣諸島が日本の領土であってもです。
さらに沖永良部島の領海を情報収集艦が航行したことも、中国政府/海軍の挑発だとして血相を変えていましたが、これまた航行の自由が認められた海域で、何ら日本政府は注文を付けられるものではありません。
国際的に日本政府が軍艦の航行に事前通報もしくは、事前承認を受けるよう法的な措置をしていれば別ですが、日本はそうしたものが一切ありません。
ということは、「自由」なのです。
日本政府は海を「自由」に使うという立場を採っており、海洋国家であり、海上輸送や航空輸送で大きな恩恵を日本は受けています。ここから、日本政府は航海・上空通過の自由を認めており、他国に対してもそれを求めてきました。
今回の中国に対する抗議は、「中国だけは別」というものと解釈されます。
中国が進める南シナ海での国際法無視、独自解釈に基づく行動に強く反発しています。中国が独自の防空識別圏を設定するとした際には、日本政府はこれに反対し、「上空通過の自由が侵害される」と抗議しました。日本の航空会社にも、これを無視しるよう求めました。
日本は自分たちの主張に反する抗議をして、次は海上警備行動だとは筋が通る主張ではありません。
そもそも接続水域や領海の航行が問題ではないのに、航行だけを抗議した点もピント外れです。中国がルール違反したのは、日本と中国の尖閣領有権主張ゲームのルール違反したということです。
国境紛争では「軍」が出てくるのは最終的なもので、原則は海上警察を前面に出すことです。そして、国民感情を刺激しないことです。
中国海軍がフリゲート艦1隻を航行させて、次は「軍」を出すと主張し、国民感情を煽ったのです。
日本政府が正当な抗議をするのであれば、フリゲート艦は事実のみの報道で終わらせ、情報収集艦の航行で「日本の国民感情を刺激しない」ように不要な無害通航を行わないよう主張すべきでした。
参院選に利用したことも疑われますが、日本政府は国民感情を刺激しないよう特段の配慮が必要です。国民感情が刺激され、誤った選択をした国民投票が行われましたが、これと同じ状況が生まれる懸念さえあることを私たちは理解しておくべきです。
事態が悪化し収拾できないとなれば、事態はエスカレートするだけです。
感情に流されず、真摯に事態に向き合い、事実関係から対応を見定めていかなければ、最悪の結果を導き出すことも考えられるのです。
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