元自衛官の憂い The third
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06230655 | 自衛隊の能力強化? |
自民党は国防関係の合同会議を開き、中国海軍の艦艇の日本領海や接続水域への侵入が相次いでいることについて、政府に対し、必要な防衛装備品を補正予算を活用するなどして速やかに取得し、自衛隊の能力を強化することなどを求める決議を取りまとめたそうです。
闇雲に小遣いを与えるのは、賢明な策とはいえません。
子供の小遣いを無条件で与えることは、子供の金銭感覚を養えないとは常識的な話です。
今回の自民党の決議は、無責任極まりないものです。
「必要な防衛装備品」とは、いったい何を指すのでしょうか。
それだけではありません。尖閣諸島をどうしたいのか政府や自民党から、我々国民に明確な説明をした人物がいるでしょうか。自衛隊は離島奪回などと訳の分からない話を、いかにも真っ当な話であるかのようにぶち上げていますが、現実には離島奪回よりも奪われないようにすることに全力を傾注することが大事なことから目を背けさせています。
現状では、日中の尖閣諸島問題はチンピラのケンカです。第三者に仲裁を求めるにも、日本は理に適ったものは何一つありません。同情さえ引けない有様です。
大雑把な数字で申し訳ありませんが、防御陣地を構える離島に正面から攻撃するには、防御側の3倍の兵力が必要だと言われています。これは、軍事常識があれば当然わかっていることです。
噂される「水陸機動団」は2000~3000人規模とされ、ここから戦闘員を推定すると、1000~2000人規模であり、占領された離島を奪回する限界点は敵は300~600人程度の兵力となります。そして、離島奪回のための着上陸戦は、極めて大きな犠牲を強いられることも理解しておかなければなりません。
賢明な認識があれば、盗られたら取り返すのではなく、盗られない努力をすることが大事だとわかるはずです。それを、飛び越えて、取り返す!だけで、盗られないようにする手を打っているかというと、我々の目には何も映ってはいません。
今、そこにある危機のはずの尖閣諸島問題を抱えながら、政府は「離島奪回」だけをぶち上げるだけ。自衛隊はといえば、陸海空はどのような戦略からどのような戦術で立ち向かおうとするのか見当もつきません。正面装備だけは湯水のごとく予算を注ぎ込むのに、本当に必要な装備には出し惜しむするという相変わらずの状態。例えば、陸自では戦車の代替となる機動戦車を造っても、コブラの後継となる攻撃ヘリは手付かず。高性能と言われる89式小銃の充足率は? 等々、問題は山積みのままです。
ちなみに、尖閣諸島周辺の接続水域を中国海軍フリゲート艦が航行したからといって、それを問題視する法的な根拠はどこにもありません。そんな曖昧な状態で、「カネ出してやれ!」はあり得ないことです。まず、何をどうするのか。まず、尖閣諸島をどう守るのか様々なシミュレーションをし、北方領土、竹島をどうするのか。北方領土と竹島は次元が違うことを学ぶべきです。問題は山ほどあるのです。それだけを政府・政治家・官僚・自衛官は再認識して欲しいものです。
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