元自衛官の憂い The third
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09031956 | 豆鉄砲とトカレフ |
和歌山で起きた拳銃射殺、立てこもり事件は犯人の自殺で幕を閉じました。ニュース映像を見ていて、犯人はトカレフと思われる自動拳銃、警察はというとニューナンブM60で犯人と向き合っていたのには、豆鉄砲でトカレフに立ち向かわなければならない警察官の悲哀を感じました。
まず、なぜ犯人に対し危害射撃が実施されなかったのかという疑問が浮かびました。
警察の任務は犯人逮捕が原則ですから、制圧逮捕という大原則があります。しかし、今回の事件では長時間にわたり説得を続け、結局は犯人の自殺という警察の説得にかけた時間がまったくの無駄に終わりました。
筆者が思うのは、付近住民の安全を確保するために外出できないといった事態を長時間続ける意味があったのかということです。
報道による事件の流れは以下のようです。
30日21:10頃
犯人が最初に殺人事件を起こした会社近くの路上で容疑者がいるとの110番通報があり、警察官が自転車に乗った犯人を発見。
この時、犯人は追跡するパトカーに向けて拳銃4発を発射。パトカーの窓ガラスが割れる。犯人は自転車を乗り捨て逃走。
同日22時半頃
警察は犯人を見失う。
31日01時過ぎ
犯人を発見し説得を開始。
このように、発見から1時間20分もの間、警察は何をしていたのでしょうか。
和歌山県警は確保寸前で犯人を取り逃がしたことになります。
一部からが、「田舎警察」だから銃犯罪を想定していなかったのではとの声が上がっています。
不思議に感じます。イスラム過激派のテロが警戒されているにもかかわらず、「田舎警察」だから“想定していない”とは言い訳にもなりません。
それに、和歌山県警本部長は危害射撃を命じず、なぜ説得で犯人逮捕を強行した理由も理解できません。まさか、「どう対処していいかわからなかった」とでもいうのでしょうか。
和歌山県警だけを責めるつもりはありません。トカレフに豆鉄砲で迎え撃てと命じる警察庁の稚拙な発想が大きな問題だと筆者は考えます。
仮に犯人の手にしていた拳銃がトカレフだとすると、警察官の防弾チョッキはまった使い物になりません。トカレフ弾とすれば前提が付きますが、トカレフ弾を防ぐには防弾能力は.44マグナム級でなければ貫通してしまいます。それに豆鉄砲ですから、和歌山の事件で現場の警察官は非常に危険な状況下に置かれていたのです。そんな中で、本部長は危害射撃を決断せず。説得という消極的な対応で、結局は犯人が自殺するという最悪の結果に終わってしまいました。
こんなちぐはぐな状態が、もし国防上の問題で起きていたら…日本(自衛隊)では起きると筆者は考えています。それは、国家危機となる事態にも繋がりかねません。
豆鉄砲とトカレフから、そんなことを考えてしまいました。
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