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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :09/09/02:49

09250918 領土問題を考える

日中間に横たわる小さな島が、大きな問題となっている尖閣諸島ですが、万策尽きた状況に陥っています。

日中のネット上で、「自衛隊を送れ!」「軍を送れ!」と過激な愛国主義者たちが溢れますが、軍事組織を動かしたが最後、解決できるか事態がさらに悪化するかのどちらかになります。軍を動かすことは、決定的な結果を生むかもしれませんが、「軍」の投入は外交上のデメリットとなる場合が少なくはありません。


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係争地に軍を投入することは国家の選択肢として当然です。切り札であり、相手に対し「何が何でもこの土地を守る」というメッセージが込められます。

係争地で自国の軍が活動することは、交渉材料として有効であり有利に働きます。ネット上の愛国者が言うように、係争地に自衛隊(軍)を投入することは有利になりますが、相手国がその係争地をどう評価しているかで対応は変わります。

たとえば、「譲ってもいいか」と腹の底で思っていれば、軍の投入で妥協も引き出すことは可能です。しかし、互いに戦力が拮抗していたり、相手国が係争地を喉から手が出るほど欲しがっていれば、軍の投入は逆効果となります。言い争いが、完全な殴り合いへと発展することは言うまでもありません。

軍の投入は切り札なため、相手にも決定的(究極の)選択を強いることになるのです。

竹島問題で明らかなように、韓国は「軍」を投入していませんが、義勇部隊の名を借りた準軍事組織を投入し確実に韓国に奪われてしまいました。

韓国は「我が領土、我が軍が行動するのは当然」と政府も国民も考えているのは当然のことです。我が国にとっては、韓国の(準)軍事組織が活動しているのですから、日本政府・国民にとっては快いものではありません。ましてや、そこに相手国の国会議員や大統領が上陸して、そこで日本を批判すれば日本人が激高するのは当然です。

日本は竹島が占領された当時、「軍」が存在せず占領下にあり解決できる手段は限られていました。自衛隊が創設され、健全な憲法が存在し、日本政府が解決しようとすれば竹島問題を解決しようとせしていれば、竹島は現在とはまったく違った状況になっていたことでしょう。

国境には陸上であれば国境警備隊、海上であれば沿岸警備隊が組織されます。国境警備隊は武装していますが、軍隊ではありません。

国境警備隊は有事には軍に組み込まれますので、国境警備組織は準軍事組織とみなされます。国境警備組織は、平時は警察活動のみを行い、国境付近の密輸・密入国といった犯罪の取り締まりを行います。

日本では「海上保安庁」が、国境警備活動を行っています。

海保は国境紛争では、まず前面に立ちはだかります。軍を投入すると、相手国に紛争を過熱化する材料となるため、軍を投入する前段階として国境警備組織が投入されるのです。

国境警備組織を投入すれば、相手国も国境警備組織を投入せざるを得ず、問題解決につながる可能性が生まれます。偶発的戦争にならず、穏やかに事態収拾の可能性が残されます。相手国が先に軍を投入すれば、国際世論は軍を投入した国が「悪者」になってしまいます。

竹島を例に見るとわかりやすいと思います。

韓国は竹島を不法占拠していますが、「軍」を投入していません。「警備隊」が島を守っていますが、警備隊は軍ではなく警察の管理下に置かれています。実際には警備隊員は軍事訓練を受けていますが、軍から警察に出向という形になっています。現実的に「軍」ですが、表面上は「警察」の警備隊なのです。

面倒なことのように思われますが、仮に日本が健全な憲法が存在し、竹島に「軍」が駐屯していると、日本政府は竹島奪回のために自衛隊に出動を命じる根拠にされる可能性が出て来ます。

竹島に軍が駐屯すると、日本政府は竹島を「侵略された」と認識する根拠となるのです。このために、韓国はすべてを理解した上で竹島に警備隊を配備しているのです。

韓国の本音は、島は譲れないが戦争にまで発展させる気はないというメッセージが込められているのです。韓国にも外交の知恵がある証拠です。

尖閣諸島を中国がどうとらえているか。

お話したように、中国は軍を直接的に投入していません。付近で航行させるなど、示威的な活動に限定しています。

筆者は中国は日本が先に自衛隊を投入するのを虎視眈々と待っていると分析しています。日本国内でネット上で「自衛隊の投入」が叫ばれるのを喜んでPCの画面を眺めているのです。

現段階では中国は尖閣諸島近海に軍を展開させる理由がないのです。先に日本が尖閣諸島近海に自衛隊を展開させれば、“待ってました!”とばかりに中国海軍が出てくることになります。

安倍首相の尖閣問題の対応は合格点です。「領土問題は存在しない」と一貫した立場であり、「領海内ことは我が国の司法機関が対処する」という姿勢であり、尖閣問題の保障となる日米安保上開くに履行をアメリカに迫り言質を得ており、尖閣諸島で事が有れば厳格な対応をすると中国にメッセージが伝わっています。

日本は尖閣諸島でどうすべきか。

日中間・日台間で尖閣諸島問題の熱が冷めたら、日本は時間を置かず尖閣諸島だけでなく、離島防衛という明確な自衛隊だけでなく海保島にも離島防衛の組織を拡充させることです。

竹島問題へのアプローチも必要になります。北方領土問題へのアプローチも変える必要が出てくるでしょう。ことに北方領土はいかに不適な手段であっても、軍事占領された事実は変えられません。事を荒立てない交渉ではなく、諦観する余裕も必要になるかもしれません。

それが領土問題を抱える日本にとって早急に必要な対処だと筆者は考えていますが、今の日本ではこれを採用し対応していくのは無理かもしれません。しかし、日本の安全保障を考えれば、必要なことである可能性は否定すべきではないと考えます。

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