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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :09/07/14:18

09271005 茶番劇

「茶番劇」とは、見え透いた、バカバカしい行為や物語を意味していますが、語源は「茶番」とは「茶番狂言」を略したもので、江尾時代末に歌舞伎から流行した、下手な役者が手近な物を用いて滑稽な寸劇や話芸を演じるものだったそうです。ストリップ劇場で前座として漫談や漫才、コントなどが行われていましたが、共通するものがあるのかもしれません。

こうしてみると、日本人は茶番劇は嫌いな方ではないようです。


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総火演などという言葉が罷り通る時代になったのは驚かされますが、陸自の富士総合火力演習は大きな人気で、見学用のチケットを手に入れるのは至難の業になっています。

筆者の現役時代は、チケットは有り余っており(当時)地連に電話すれば希望する枚数は確保するのは容易でした。

近年、尖閣諸島方面での中国の圧力により、「離島奪還」をうたい文句に展示演習が行われていますが、今年もまた「離島奪還」を掲げていたようですが、演習前後になると筆者は“よく言うよ”と感心させられます。

ハッキリ言って、総火演は「茶番劇」です。波田陽区さんのネタではありませんが、「○○○ですから! 残念!!」と言いたいほどです。まあ、防衛省などと御立派な名前で真実が隠れてしまっていますが、防衛省も所詮は“お役所”ですから納税者(国民)にウソをつくなど平気なのでしょう。

まず、島嶼防衛は非常に困難な作戦です。旧日本軍は離島防衛に失敗し、多くの犠牲を出してしまいました。しかし、そうした中でも上陸してくるアメリカ軍に少なからぬ犠牲を出したり、アメリカ軍に作戦を諦めるまで苦戦を強いたペリリュー島の戦いもありました。

沖縄戦などで当時の証言として、海が多くの艦船で埋め尽くされたという言葉を聞いたことがあるかと思います。これは、アメリカの国力を物語る言葉のようですが、実は戦術的に見れば当然のことなのです。

島嶼を奪取するための着上陸戦には、大きな努力と犠牲を覚悟しなければなりません。大雑把な数字ですが、一般には防御側の3倍の兵力を必要とするといわれています。

防御側は攻勢側の機動力を阻害できる地形を選んで障害を構築し、掩体を構築して火器類を守られた状況で防護します。着上陸側は隠れるところがないという致命的なマイナスを背負い作戦が行われます。

例えば中国が日本の領土である重要な離島に地上部隊を配置し、海空軍戦力を展開できれば自衛隊が奪回することはほぼ不可能です。ことに南西諸島は沖縄本島から離れており、九州の航空基地からは1000kmを越える距離にあるため、海空戦力では対抗することはできません。

海兵隊機能を持つ部隊を陸自に創設するとか言ってはいますが、どこまで本気なのかわからなくなっている状況から鑑み、総火演の「離島奪回」はお題目ということがご理解いただけると思います。

かと言って、陸自部隊を離島に配備すればいいようですが、陸自の充足率等を考えれば無理があり、当該離島の住民感情は決して協力的なものではなく、さらに離島防衛は困難なものとなります。

チャンスが無いわけではありません。離島が奪われ、後続部隊や兵站物資を揚陸する前に遅滞なく海空部隊と共に地上部隊を投入し攻撃することで奪回も可能となります。タイミングを誤ると、奪回には3倍以上の兵力を準備しなければならなくなります。

総火演が茶番だということがわかっていただけたでしょうか。

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