元自衛官の憂い The third
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11010853 | 駆け付け警護を命じられたら |
「拒否します!」以上
では話になりませんので、どれほどの負担を現場に強いるか検証したいと思います。
筆者は医療経験がないので、あくまでも現場の指揮官として命令を受けたという前提でお話ししますことをあらかじめご了承ください。
たとえば南スーダンではヘリも無ければ、なぜか装備されない救急型装甲車すらありません。部隊は軽武装ですから、命令で出て行くのはかなり厳しい状況となります。撃たれて負傷すれば後送すら難しいのです。それでも指揮官として命令しなければならないのです。
戦闘となればケガをするのは当然で、手足や目を失うことさえ考えられます。
「現地の状況は落ち着いている」と駆け足で視察して平気な顔している大臣などどうでもいいですが、命のやり取りをする場面で支援も期待できず「やることはやれ」では特攻を命じた愚かな軍人と本質は変わりません。
河野統幕長は記者会見で、「訓練は順調」だと胸を張っていましたが、現場からは「お前が最初に行けよ!」くらいのことは言われていることでしょう。筆者なら言います。
某サイトの質問コーナーに、「何で自衛隊は野戦救急装甲車を導入していないの?」との質問に、「世界中の軍隊に野戦救急装甲車なんぞ無いですよ。野戦救急装甲車て、何処の軍隊に装備しているのでしょうか?」と回答がありましたが、この程度なんです。軍事オタクは…悲しい現実です。
赤十字マークを付けた車両は必要であり、救急型に特化しているかどうかはわかりませんが、どこの国の軍隊にも赤十字を付けた装甲車両はあります。
南スーダンに持ち込んでいるのは、9mm拳銃、64式・89式小銃、5.56mm機関銃、軽装甲気動車、高機動車、トラック、その他です。
軽装甲機動車が期待できなくもありませんが、車高が高く横転しやすく、装甲防御能力は照準弾に対し耐弾性がある程度でしょう。増加装甲も無理でしょう。
戦場では速度か装甲か、どちらも有効でなければ自爆するしかありません。
それでドンパチやれ!ってあり得ません。まともな感覚で言えば、自衛隊は本気で戦闘する気はないと思われます。その程度なのが、自衛隊の戦闘に対処する能力なのです。
現在、5.56mmが旧西側世界で一般的になっていますが、7.62mm弾では破壊力が最大になる前に貫通してしまいますが、5.56mm(AK-74:5.45mm)小銃弾は身体に命中直後に破壊力が最大になるだけでなく、容易に破片になるため1発が命中すれば、複数個所の穿通性外傷を負わせます。
「防弾ベストがある」といっても、防弾ベストを貫通できるよう改良が進められています。1発で戦闘力を奪うために、最近は骨盤付近を狙うようになっています。頭部は標的として小さく、よく動くので命中精度は落ちます。胸や腹部は防弾ベストで保護されており、銃弾による破棄力が減殺されるため骨盤付近を狙うのです。
こうした傾向は軍隊だけでなく、武装勢力にも広まっています。
AKは精度が期待できませんが、寄せ集めの武装集団でも数に勝れば状況は変わります。もっと計画的な武装集団であれば、数で襲撃して姿が露出されれば狙撃することも考えられます。
救護もされず火力支援も無い。負傷しても後送は無理。そんな状況で誰が命令に躊躇なく従えるでしょうか。
それを「状況は安定している」だけで済ませていいのでしょうか。
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