元自衛官の憂い The third
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11150927 | あたふたする安倍首相 |
ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選で勝利すると、日本政府はあたふたし始めました。予想外の勝利とはいえ、政府が〝もしかしたら〟という想定すらしてこなかったのかと嘆かわしい現実が浮かび上がります。
異常というほかありません。政権以降の準備もようやく始まった段階で、トランプ氏と会談するというのですから焦りがハッキリ見えてきます。推測ですが、日本政府/安倍政権はアメリカ国内で何が起きているのか把握しきれていないようです。
トランプ氏の勝利は、民主・共和両党が戦後一貫して続けてきたアメリカの介入による国際協調主義が崩壊する可能性が高まっていることです。つまり、私たちが体験したことのない世界をトランプ氏はもたらすことになるのです。
トランプ氏は人種差別主義者であり、自由貿易システム、ヨーロッパやアジアでの同盟関係に言及しました。いずれも、国際協調主義を根底から覆すような発言を繰り返していました。
当選後、主張はトーンダウンしましたが、孤立主義へと進める途を明確にしてきました。人種差別はメキシコ人、イスラム教徒、アジア系とアメリカ人以外のすべての外国人をやり玉に上げました。
「わが国は深刻な事態に陥っています。米国はもはや負けてばかりです。以前は勝っていましたが、今は違います。米国が最後に勝ったのはいつのことでしょうか――強いて言えば、中国と貿易協定を結んだときでしょうか。米国は中国のせいで破綻しています。私はつねに中国をたたいています。ずっとです。米国が日本に勝ったためしがあるでしょうか? 日本は何百万台単位で(米国に)自動車を送り込んで来ますが、それに対して米国はどう対処しているでしょうか。東京をシボレーが走っているのを最後に見かけたのはいつでしょうか。皆さん、シボレーは消えたのです。米国は日本にやられてばかりなのです」
これは、日本では大きく扱われませんでしたが、トランプ氏の立候補表明演説です。現在、取り巻きがトランプ氏の過激な発言の火消しに回っていますが、トランプ氏は明らかに日本を標的にしていることは間違いありません。
英国誌とのインタビューでは、トランプ氏はアメリカの雇用を減らす原因である日本との軍事同盟の必要性に疑問を呈しています。
「米国が日本と結んでいる条約は興味深い。なぜなら米国がどこからか攻撃されても、日本には米国を助ける義務はないのだから。それでいて、もし日本がどこからか攻撃されたら、米国は日本を守らなければいけない。そんな取引を米国はしているのだ」
これらの発言の結末が、日本核武装容認論です。
日本の経済力を高く評価していただけるのは有難いことですが、アメリカの食い物にしているのは日本ではなく中国だということはお気づきではないようです。
12月にはロシアのプーチン大統領が訪日します。せっかくのチャンスですから、日本は日露安全保障条約を検討し、日本とロシアの技術を統合した武器輸出機構を立ち上げ、ロシアにとって欠かせないパートナーになれるよう努力すべきです。
ロシアと同道できれば、中国・北鮮に強いメッセージを送ることができ、現実問題として中国には要石となるのは確実です。
メディアなどは、トランプ氏のスタッフが軟化したような発言が目立ち、トランプ氏の口した言葉すべてが実現できるわけではないとして軟化は当然だといった論評が目立っていますが、それがトランプ氏の信念を曲げたのかということにはなりません。
政権移行を前に、余計な波風を立てないことに終始していると筆者は見ていますが、果たして事実はどうか…日本がこの先どのような目に遭わされるか考えなければならないのです。
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