元自衛官の憂い The third
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11130926 | 瓢箪からトランプ |
「瓢箪(ヒョウタン)から駒が出る」とは、思いもかけないことや道理上あり得ないことが起こること、冗談半分で言ったことが現実になることです。
アメリカ大統領選は、瓢箪からトランプというのが誰しもの感想です。予測できない要因が働いことも事実ですが、選挙結果を予測した人の誰もがトランプ大統領の誕生が何を招くか想像し、そのために「あってはならない事」だとの願望も働いていたと見るべきでしょう。
6月のイギリスの国民投票によるEU離脱決定に続き、世界的に大きな衝撃をもたらしました。
まず衝撃だったのは、選挙用とはいえ稚拙な手法にアメリカ合衆国(以下、アメリカ)市民が完全に騙されてしまったことです。
発言に「敵」を作り、その敵を口汚く罵る。そして、その敵を打ち破るのは私だとヒーローであることを演出します。偉大なアメリカを復活させるために、数々の敵を挙げました。
あまりにも無茶な論法に、実現性は薄いのは明らかでしたが、アメリカ大統領には強力な権限が与えられています。その権限を使えば、トランプ氏が口にした公約も実現できないこともないのです。
アメリカ大統領には3つの権限が与えられています。閣僚の任免権、議会への拒否権、米軍の指揮権の3つです。これはあくまでも大きなものだけですが。
日本でもすったもんだしますが、閣僚の任免権は禍根を残すこともあります。
アメリカでは選挙に多額の資金が必要なため、巨大企業から支援を受けることになります。当然、当選すればそうした企業の経営陣から政権に送り込まれ閣僚となります。「ひも付き」ということです。
ブッシュ政権はイラクに侵攻しましたが、その理由は何ら正当性がないにもかかわらずイラクに侵攻しイラクを崩壊させてしまいました。
ブッシュ政権は石油業界と強いつながりがあり、そうしたことからイラク侵攻となったと見られています。
トランプ陣営が、自己資金で選挙資金を賄っていると発表されましたが、この発表はトランプ候補(当時)は「ひも付きではない」との主張だったのです。つまり、企業利益に影響されないトランプ氏が主張する公約が実現可能だとも解釈されます。
次に、大統領拒否権です。
これはアメリカ大統領最大の武器で、議会を通過した法案を大統領が拒否できます。拒否された法案は、議会で再度3分の2以上の賛成が得られない限り廃案になります。
日本が必死になるTPPもアメリカは大統領拒否権で廃案になることもあり得るのです。トランプ氏はTPPがアメリカの雇用を減らす自由貿易だと考えているようですが、そう簡単に片づけられないのがTPPです。
日本を名指ししたトランプ氏ですから、貿易制裁も仕掛けてくることも考えられます。貿易摩擦と闘う大統領と印象付けが簡単にできます。
最後に米軍の指揮権です。
トランプ氏は世界の警察官として世界中で活動することを「無駄」だとしました。それにより、在日米軍が撤退まではいかなくとも、費用負担の増額を求めてくることが考えられます。それを拒否すれば、駐留米軍の縮小、貿易制裁も厳しいものとなるでしょう。闘う大統領そのものです。
沖縄の一部の人は、米軍が撤退するこを歓迎しているようですが、仮に米軍が撤退すると、日本は軍拡の途を選ぶしかありません。安保法制で根も葉もない「徴兵制」が取沙汰されましたが、米軍が日本から撤退するようなことになれば徴兵制復活もあり得ることです。
防衛予算という名の軍事費が多額となり、増税もあり得るでしょう。新たな同盟国を探すべきですが、日本の外交能力はそれほど有能ではありません。日本の核武装もより現実味を増すことになります。
アメリカはそもそも北鮮問題など興味がありません。今のところ、北鮮が核武装してもアメリカを直撃するミサイルは存在しません。北鮮の核は韓国には使われないでしょう。北鮮は南北統一を目指しているため、半島南部の韓国を放射能汚染するようなことはしません。
北鮮の核ミサイルの標的は、在日米軍基地、現在はやっとグアムまで到達できるミサイルだけですし、技術的にグアムに到達する証明はされていません。
ですから、北鮮のことなどどうでもいいのです。極東のアメリカ軍をグアムまで引き上げることも考えられます。
そうなれば、北鮮の思うがまま。日本は危機的状況に立たされることになります。日本の敵は北鮮だけではありません。
トランプ大統領の就任は、日本に大きな影響を及ぼすことは言うまでもありません。それを日本人はどこまで理解しているのか…。貿易問題だけでなく、日本は大きな岐路に立たされることになるのです。それは、現在の状況以上に厳しいものとなるでしょう。
ちなみに、現在の状況は戦後最大の危機的な状況です。日本の周辺に「敵国」が現れ、絶えず圧力を加えてきているのです。そこへ、日本が独り立ちしなければならないような状況となれば、国家存亡の危機と言えるものとなるでしょう。
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