元自衛官の憂い The third
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07241244 | [PR] |
05300407 | 暴走特急 |
トランプ大統領への厚遇ぶりは、見ているこっちが恥ずかしくなってきました。選挙の集票のネタにしたかったのでしょうが、「アメリカとイランの緊張緩和に日本が努力する」とトランプ大統領に言っちゃったようですが、これってとんでもない安倍さんの勘違いではないでしょうか。
トランプさんとの蜜月はかまいませんが、スタートからコケるのをわかった上でアメリカとイランの緊張緩和など口にするべきではなかったと言えます。イランに不興を買うより、国際社会からの信用まで失墜するようなことになりかねません。
イラン危機は、そもそもアメリカのトランプ大統領が拳を振り上げたのが始まりです。イランが脅威であると強調し、ペルシャ湾方面に空母打撃群や戦略爆撃機を送り、イランはこれに対抗して弾道ミサイルを配備するなどアメリカと真っ向からぶつかる形で推移してきました。
イランはアメリカと同盟関係にあるサウジアラビアの船舶への攻撃なども行い、これはイランに近いイエメンなどが攻撃しているようです。
日本は2016年で中東からの原油・天然ガスの輸入量は87%を超えています。イランからはこのうちの7%を占めており、アメリカはイランに対する制裁を強めるために、日本にも輸入を規制すると打ち出しました。日本はイランに代わる輸入先を探さなければならない事態となっています。実際に日本は困っているのですから、日本がアメリカ・イランの関係改善に前向きになるのは当然ではあります。
関係改善の役を担うのは国際社会で必要な立場ではありますが、拳を振り上げたのはトランプ大統領ですから、まずはトランプ大統領にクギを刺すのが第一歩ではないでしょうか。
トランプ大統領は一昨年、2015年にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国と交わした核合意を「根本的に欠陥がある」と、一方的に離脱を宣言しました。どうやらトランプ大統領は、平和利用目的の低濃縮ウラン製造をイランに認め、弾道ミサイルも規制されていないことへの不満が発端だと見られています。
うがった見方では、トランプ大統領最大の支援者であるユダヤ系の大富豪がイランと敵対するイスラエルへの後援のためにトランプ大統領がイラン制裁に舵を切らせたともいわれています。
低濃縮ウラン製造は、ウラン全体を網羅した制裁(禁止)となれば反米感情が悪化するのは目に見えており、それを避けるために「核兵器開発禁止」に特化して成立したのがイラン核合意でした。
安倍さんが本気でアメリカ・イランの緊張緩和に尽力するのであれば、まずは先に拳を振り上げたトランプ大統領にクギを刺し、そこから始めるのが常識だと思うのは私だけでしょうか。アメリカ側から譲歩を引き出せなくとも、自制を求めた事実ができ、次の段階でイラン説得に乗り出すというのが極々常識的なことでしょう。
それをやらずに、ただ単に言葉だけを口にするのは、イランからの信用が得られず、スタートから大コケするのは目に見えています。アメリカの譲歩も引き出せず、イランに一方的に譲歩を求めるのは説得ではなく、トラブルメーカーのトランプ大統領のメッセンジャーでしかありません。
北朝鮮のメッセンジャーを気取り大コケした大統領がいますが、完全に同じ道を歩むことになります。
世界常識でいえば、イランが核合意に従ってきたのはIAEA(世界原子力機関)が認めており、イランはアメリカから〝因縁をつけられた〟と思っていることでしょう。自国に因縁をつけられたのですから、イランは自国防衛のために〝戦争〟という選択をする可能性もゼロではありません。アメリカ・イランの関係改善は戦争を防ぐことも含まれているのです。それを安請け合いしてしまったのは、安倍さんの勘違いではないでしょうか。
まさかとは思いますが、「外交に強い安倍」を演出するために、つまり選挙対策のためにアメリカ・イランの関係改善に動くと言い出したのではないでしょうか。成果を考える必要などありません。その場に行ったという事実があれば良いのですから。イランがどう動くかはイラン任せで良いわけです。成果は二の次。だとすると、やはり選挙対策と見えてしまうのは私だけでしょうか。
現実的な話をすれば、トランプ大統領にしても拳を振り上げてはみたものの、アメリカ・イランの全面衝突(戦争)は北朝鮮と同じく無理です。トランプ大統領は、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いといった発想でイランに圧力をかけるのであれば、解決策どころか打開策すらありません。
トランプ大統領はただのトラブルメーカーです。自分でイランとの関係に火をつけて、消せなくなっているトランプ大統領に手を貸すという発想自体、大きな間違いです。
日本政府はイランとのパイプがあるかのようなことをしきりに訴えていますが、イランはアメリカ寄りの仲介者にそう簡単に従うでしょうか。それを敢えて実行するというのであれば、国際社会で信用失墜に繋がることも考えられます。安倍さんの暴走とは言いすぎでしょうが、それに近い状況に陥るのは目に見えています。
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