元自衛官の憂い The third
![]() (08/07)
(08/01)
(07/29)
(07/20)
(07/12) |
|
07240003 | [PR] |
01090611 | 何やってんだよ! |
年明けとともに恐るべきニュースが飛び込んできました。
イラン革命防衛隊のコッズ部隊(ゴドス軍)司令官をアメリカ軍が暗殺しました。「ゴドス」とはアラビア語でエルサレムを意味します。
ゴドス軍はイランイラク戦争時に編成された不正規戦や諜報活動を行う特殊部隊です。国外活動を担当しており、これまでレバノンのヒズボラ、パレスチナ・ガザ地区などのハマース、イスラム聖戦機構、イエメンのフーシ派、イラク、シリア、アフガニスタンのシーア派民兵などに支援や訓練を行なっているとされています。あくまでも全てが〝推測〟なのです。物証がありません。アメリカのCIAや統合特殊作戦コマンドに近い存在です。
もっと言えば、ゴドス軍はアメリカ軍と協力関係にありました。イラクのIS掃討作戦で協力していたはずです。イラン最高指導者ハメネイの直属組織とされています。
今回の司令官殺害は、新たな戦争の火種になる可能性があり、一歩間違えば世界大戦の懸念すらあるのです。日本では、全くそのような話題は出ていませんが…。
アメリカCIA長官が、不正規戦や謀略活動を理由に暗殺されたら、暗殺を実行した国はどうなるでしょう。即座にアメリカ4軍の攻撃にさらされ、政権は叩きつぶされることでしょう。イランが「戦争行為」と糾弾するのは当然です。
イラク議会はシーア派が多数を占めており、この殺害でイラク議会はアメリカ軍の追放を決議しました。イラク国内は不安定化し、ISの残党が勢力を拡大する可能性まで出ています。
アメリカの歴代政権は、ゴッズ軍スレイマニ司令官を暗殺のターゲットにしながらも実行しないできました。それを、敢えてトランプ大統領がなぜ実行したのか。最悪な事態ですが、どうやら再選に向けたアピールだった可能性があります。国防総省が大統領に様々な選択肢を提供したそうですが、その中でも最悪の選択肢としてスレイマニ司令官の暗殺があったそうです。慣例では、最悪の選択肢を選ばないようにさせるためだそうですが、側近の反対を無視してトランプ大統領は暗殺を実行を命じたとされています。
今回の殺害は、12月末に起きたシーア派武装民兵組織による米軍基地攻撃で、米国の傭兵が死亡し、これに対し米軍がシーア派武装民兵組織を攻撃。これに抗議するイラク国民が、バクダッドのアメリカ大使館を襲撃し、トランプ大統領が激怒し殺害を命じたそうです。
トランプ大統領は大統領選前に、「アメリカ(オバマ大統領)がイランに戦争を仕掛ければ必ず勝つ」と発言しています。アメリカでは、戦争中の大統領は国民の支持を得られ、選挙に負けないといわれています。また、国内のトラブルを海外に目を向けさせる方法として、危機を演出することもよくあることです。
イランとアメリカがガチで戦争をするとすれば、イランは正規戦でアメリカに勝てるはずがありません。イランもそれを十分に承知しているでしょう。となれば、イランは非正規戦に持ち込むことでしょう。仮にイランにアメリカ軍が侵攻すれば、イランのパートナーであるロシアも黙ってはいないでしょう。アメリカ軍もイラン全土で戦闘を行い勝利できるとは思っていないはずです。
ただ、石油の高値・急騰し世界経済に大きな影響を及ぼすことになるのは必至です。筆者の見立てでは、イランはアメリカの経済制裁で国民の不満が大きくなっていました。イランも日本に仲介を期待していた可能性もあり、今回の殺害でイランは反米感情一色になってしまいました。全てをぶち壊したトランプ大統領ということになりますが、アメリカだけをぶち壊してくれるのならかまいませんが、世界をぶち壊すのだけはやめて欲しいものです。
- +TRACKBACK URL+