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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/28/07:26

08111228 いまさら他人に訊けない弾道ミサイル

  弾道ミサイルとは何か・・・グアム島近海に向け弾道ミサイルを威嚇発射すると公言する金正恩ですが、弾道ミサイルとは何かなんて今さら訊けません。なので自分も含め、もう一度おさらいしたいと思います。

 実際、私が現役時代は「弾道ミサイル」に対する脅威など全くありませんでした。冷戦体制下で、米ソが本格核戦争まで拡大することすら考えられない時代でした。

 ICBMと呼ばれる〝大陸間弾道弾〟があるといった知識レベルです。それだけで、当時は充分だったのです。

 今では考えられませんが、ソ連の核兵器搭載ICBMを迎撃するために、核ミサイルで迎撃するという考えがあったほどです。地上から核ミサイルを発射し、核爆発で発生するX線で核弾頭部のコアを不活性化するというものでした。核を核で迎撃するという無謀な試みでしたが、迎撃する核弾頭の爆発の影響範囲は広範囲で、命中精度はそれほど考えることはなく実現できる条件は揃っていたのです。

 しかし、現実問題として自国の上空で核爆発が起きることに代わりはなく、核爆発により広範囲に電磁パルス障害を起こすことは避けられず、仮に迎撃に成功したとしても第二波の攻撃には応戦できないということがありました。

 ということで実用化されなかったと言いたいところですが、米ソともにこの迎撃ミサイルは導入されていたのです。

 1972年、弾道弾迎撃ミサイル制限条約が締結され、アメリカは75年に運用を放棄、一方、ソ連ではモスクワ周辺にいまだに配備され、同様の迎撃システムを開発中とされています。ここまで来ると、もう病んでいるとしか言えません。


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 地表から(重力下)で投射された物体は放物線を描く軌跡で運動します。これが、弾道です。ここから〝弾道ミサイル〟と呼ばれるようになりましたが、前述したようにかつては「弾道弾」と呼ばれていました。

 発射された弾道ミサイルは最初の数分に最大にまで加速され、その後は慣性で弾道飛行の軌道(放物線)を描いて目標に到達します。

[弾道ミサイルの特徴]

●迎撃が困難

 ・射程が長い

  射程が長いため目標から離れた場所から発射でき、発射前に発見することは不可能です。

 ・軌道上では迎撃できない

  弾道軌道で短距離弾道ミサイルでも宇宙空間に出るため、宇宙空間でミサイルを撃墜するの 

 は簡単ではありません。通常の地対空ミサイルや空対空ミサイルで迎撃できる高度は数十km 

 程度で、弾道ミサイルを撃墜するには、弾道ミサイル迎撃に特化したミサイルの開発が必要でし 

 た。

 

 ・発見しにくい

  発射台やサイロ式のミサイル発射は別に、鉄道を利用したり道路を移動する弾道ミサイルは必

 要に応じ移動でき、発射前に発見することは困難です。弾道ミサイルが実用化されたナチス・ド 

 イツのV2ロケットはトラックによる牽引式だったため敗戦まで発射前に発見されたことはあり 
 ませ
んでした。

 ・速度が速い

  速度が速いため弾着までの時間猶予がありません。北朝鮮からでは10分以内には日本のあ 

 らゆる個所に着弾します。数秒も無駄にはできないのです。

  ミサイルは大気圏再突入時、法則により加速度的に高速となるため、大陸間弾道ミサイルでは

 秒速7km、中距離弾道ミサイルでも秒速2kmとなるとされています。中距離弾道ミサイルでもロ 

 フテッド軌道で発射すれば、より高速となります。

 ・残骸処理

  国会だと思いますが、核弾頭搭載弾道ミサイルを撃墜しても、 核爆発は起きないと一般論だ

 との前提で語られていましたが、核爆発は起きなくても、弾頭部が地表に落下すれば当然、そ

 の処理が必要になります。化学物質(化学兵器)であればなおさらのこ とです。

 いずれにしても、弾道ミサイルは厄介なシロモノなのです。日本政府は北朝鮮の弾道ミサイルに、迎撃することしか考えていないようですが、様々な方法を使い弾道ミサイルを発射させない努力も必要です。それを怠っているからこそ、北朝鮮の今があるのではないか・・・そんな疑問が浮かんできます。

[命中精度]

 弾道ミサイルは最初の数分の間に加速した後は慣性飛行します。最初の数分で到達した速度により、着弾地点が決まります。加速終了地点から着弾地点までの距離が短いのであれば問題にはなりませんが、弾道ミサイルは長ければ数千kmを飛行するため誤差が大きくなり、着弾地点はズレてしまいます。

 射程距離が長い弾道ミサイルほど、誘導装置は高度技術が必要となり、当然、それらは高価なものとなります。

 命中精度を表すCEP(半数必中界)は100m2,000mとされ、半数必中界が短いのであればあるほど、弾道ミサイルとして運用する柔軟性が生まれます。

 命中精度が上がれば、弾頭部の威力を小さくすることができます。誤差が2kmもあれば目標を破壊するには、核弾頭が必要となりますが、命中精度が200m以下であれば通常弾頭でも充分な威力です。

 命中精度が高ければ、弾頭の小型化が可能となり、弾頭を多弾頭化も可能となります。

 例えば、今回、北朝鮮はグアム島沖合に弾道ミサイルを発射すると公言していますが、北朝鮮はグアム島までの距離であれば充分な誘導能力を持っているという技術的誇示だとも受け取れます。

 誤差が数㎞以上、数十km以上であればグアム島沖合に撃ち込むことは即戦争に繋がります。ハッタリかどうかはわかりませんが、チキンレースに出ることを自ら名乗り出たのですから、相応の技術力があることは間違いないでしょう。

 弾道ミサイルは核とは直接結び付かなくても、1発の核弾頭と数百発の弾道ミサイルがあれば、充分な脅威対象であり、敵対国を威嚇できます。北朝鮮に対峙する日本が好例です。

 弾道ミサイルだけで敵対国を占領できるわけではなく、敵戦力を漸減するに役立つものではありません。弾道ミサイルは敵対国民に心理的影響を与えるものであり、北朝鮮は充分な威力(精度の高い誘導が可能な)を発揮する弾道ミサイルをすでに手にしていると言っていいでしょう。

 理由は定かではありませんが、北朝鮮の弾道ミサイルを無視して、中国を対象として騒ぎ立てた日本政府/防衛省/自衛隊ですが、これからどうするのか北朝鮮とどう向き合うのか日本は岐路に立たされていると言っていいでしょう。

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