元自衛官の憂い The third
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08120807 | 何をしに行くの? |
北朝鮮によるグアム島周辺海域に弾道ミサイル発射計画を受け、防衛省は航空自衛隊のパトリオット地対空誘導弾(PAC-3)部隊(司令部:岐阜基地)から島根県出雲市(出雲駐屯地)、広島県安芸郡(海田市駐屯地)、愛媛県松山市(松山駐屯地)、高知県香南市(高知駐屯地)に展開させました。
名目は北朝鮮から発射された弾道ミサイルが不時落下(部品等を含む)に備えた配備だそうですが、部品はミサイルよりも小型でPAC-3が破壊できるのかどうか疑問です。
北朝鮮が通過すると公表した4県の県民に安心感を与えるだけで、現実にはPAC-3だけでなく、日本海で待機するイージス護衛艦も何の役にも立たないと思われます。
まず、イージス護衛艦が対応できると仮定しても、弾道ミサイルを撃墜する法的根拠を何に求めるのかということがあります。
小野寺防衛相は10日の衆院安全保障委員会で、「我が国に対する存立危機事態になって、新三要件に合致するということになれば対応できる」と説明しました。
「存立危機事態」とは、国名は明記されていませんが、日本の同盟国であるアメリカが武力攻撃を受けることが前提で、「北朝鮮がアメリカに対し攻撃意図を明確にした上で、ミサイル発射の準備に着手していることが事前に判明した場合も武力攻撃の発生とみなせる」と政府関係者が語っていますが、今回のミサイル発射はアメリカに対する攻撃意図とみなすことはできません。
北朝鮮が明らかにしたグアム島周辺海域30~40kmの海上は領海外で、アメリカに対する攻撃とは言えません。存立危機事態とはなりません。
技術的にもイージス護衛艦が搭載するSM-3ブロックⅠAは上昇限度500km、射程1,200km。弾道ミサイルが放物線を描く弾道飛行の最高到達点から落下し始める時点以降に迎撃しますが、今回のグアム島沖合に向けて発射された場合、日本海から日本上空を通過する際は、弾道ミサイルは加速を続け上昇するタイミングで迎撃は難しいでしょう。
今回、緊急展開したPAC-3も1基でカバーできるのは半径30km以下のエリアで、興味がある方はネットで地図上に円を描けるサイト等で各駐屯地を中心に円を描いてみてください。PAC-3の有効エリアがどれだけ限られているのかがわかります。
でも、事前に計画を公表するのは傲慢不遜な金正恩のこれまでのやり口から考えると異例です。ウラに何かあるような気がしてきます。
日米韓は弾道ミサイル、核開発にばかり目を奪われ、金正恩がなぜ弾道ミサイル・核兵器にこだわるのか一顧だにしないできました。本来であれば、これは韓国が担い情報収集・分析結果を三国で共有しなければならないことです。理由は簡単です。思考・文化がほとんど同じなのですから、韓国以外に適する国はありません。それを見事に怠ってきたのです。
日本にしても同じで、相応の情報が得られるにもかかわらず、何ら情報収集すらされてきませんでした。差別主義者の標的にするだけという虚しい時間を無駄に過ごしてきたのです。
さて、北朝鮮はグアムに向けて弾道ミサイルを発射するか否か・・・。
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