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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :12/01/20:48

02071345 人工衛星と称する事実上のミサイル

北鮮がロケットを打ち上げると、決まって日本では“人工衛星と称する事実上のミサイル”と連呼します。北鮮が弾道ミサイルの隠れ蓑として人工衛星打ち上げを口実にしていると強調したいのでしょうが、受け手側が前提条件を理解していないと何が何だかわからなくなります。

ロケット? ミサイル? その違いを説明します。


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日本(自衛隊)では、誘導装置を持つ飛翔体(ロケットエンジン、ジェットエンジンにかかわらず)をミサイルと称しています。日本語にすると誘導式噴進弾といいます。誘導装置を持たない飛翔体をロケット、無誘導式噴進弾と区別しています。これが、そもそもロケットとミサイルをわからなくしてしまいます。

わかりやすく説明すると、バニラアイスの「カップ入り」か「バー」かの違い程度です。

ロケットの先端に宇宙船や人工衛星を載せ、宇宙空間でこれを放出するのがロケットで、爆弾や核兵器、化学兵器等のヒトに危害を及ぼすものを載せ、宇宙区間で放出され目標に誘導可能なものがミサイルです。

このように、「カップ入り」か「バー」かの違いだけなのです。中身(ロケット本体)は変わらないのです。

このようにややこしいことになってしったのは、最初は宇宙旅行を目的としたロケット研究だったものを、兵器としての可能性から兵器として大きく発展しました。戦争が終わり技術者がアメリカとソ連でそれぞれ研究開発を進め、兵器搭載ロケット=ミサイルと人工衛星・有人宇宙船搭載のロケットへそれぞれが発達したためです。それを敢えて区別しようとした日本人のミスが混乱の原因です。

宇宙ロケットと弾道ミサイルの原点は、1927年に結成されたドイツ宇宙旅行協会にさかのぼります。宇宙旅行を目指していた彼らは、1929年頃から液体燃料ロケットを研究していました。この研究をしていたのが、戦後、宇宙ロケット開発の第一人者となるヴェルナー・フォン・ブラウンでした。

この研究にヴァイマル共和国陸軍兵器局が目を付けフォン・ブラウンをスカウトし陸軍の下で研究を進めさせます。そして生まれたのがV2ロケットです。

この研究者たちがナチス・ドイツ崩壊前にアメリカに亡命したり、ソ連へ渡りロケット研究を進めました。ソ連に渡った技術者たちは、アメリカに先駆けて1958年にスプートニクロケットを使い人工衛星を打ち上げ成功し、アメリカにスプートニク・ショックが広まり米ソ宇宙開発競争が始まります。

開発競争の初期は、弾道ミサイルから弾頭を外し、代わりに人工衛星や宇宙船を載せたものでした。宇宙ロケット技術は弾道ミサイル技術を同じだったのです。つまり、宇宙開発競争はロケット技術開発競争でした。

人工衛星と称する事実上のミサイルなどとややこしい表現をするのは、平和ボケの賜物なのか、それともただのメディアの数字のための方便なのかはわかりませんが、北鮮と中国の動きは日本に重大な結果をもたらします。隣国が非協力的な以上、日本は独自の防衛政策を採らなければならない状況にあるのです。憲法改正や安全保障法制などと、学会の繰り言のようなことをしている暇など無いと筆者はいらだっています。

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