元自衛官の憂い The third
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07281605 | [PR] |
04270933 | 今後の行方 |
米国が北朝鮮を攻撃し、その反撃が北朝鮮によって行われるのか。日本でも大いに気にしている人がいらっしゃることでしょう。北朝鮮は核を使うのか、化学兵器を使うのか、様々な分析や憶測が飛び交っています。
かつての職業病の後遺症と育てられた家庭環境の影響で、今回の緊張状態が「戦争」に繋がらないとは言いたくはありません。
さらに、日和見主義であるトランプ大統領は何をするか、これまでの歴史から分析することは不可能です。
トランプ大統領は選挙期間中に、「孤立主義」=「対外不介入主義」を主張していました。選挙期間中、トランプ氏は米国外の紛争に介入したジョージ・W・ブッシュ元大統領を厳しく非難し、米国が軍事力で外国の政権転覆を図ること、その後の国家再建に関わることに反対しました。おカネがかかるためです。
トランプ氏の主張する「アメリカ・ファースト」は、〝世界と関わらない。世界の警察官ではない。アメリカが強く豊かであれば世界のことなどどうでもいい〟と解されました。これにビビったのが安倍晋三首相です。尖閣諸島問題に米国を巻き込み、日中間の紛争の抑止に役立てようとしました。
トランプ氏の主張は多くの米国民の支持を集め、トランプ氏はめでたく大統領の座に就いたわけです。
シリアでアサド政権が再び化学兵器を使用したと思われる事態に、トランプ大統領は「アメリカさえ良ければ何の関心もない」というアメリカ・ファーストが吹き飛ばしてしまいました。
シリアで使用された化学兵器は航空爆弾のようですが、これに激怒したトランプ大統領は簡単に孤立主義を捨ててみせました。シリア攻撃は米中首脳会談の最中に攻撃成功が伝えられるという演出までされ、この攻撃はもしかしたら綿密に計算された演出であったと推測されます。
今回の朝鮮半島の緊張状態で誰が得をするか・・・そう考えると、米国だけということを気付いている人は少ないようです。
米国トランプ大統領は対中貿易赤字を持ち出さず、中国の積極的対北政策を実行を促し、日本にも大きな貸しを作ります。トランプ政権の対露政策はまだ決まっていないようですが、仮に北朝鮮が暴発したらロシアは重要な役割が生まれます。米国がもっとも避けたい地上軍の投入です。ロシアは日本にも貸しを作れますので、戦闘状態となれば躊躇なく介入するでしょう。実際に戦闘状態に陥っても、米中露はウィンウィンとなるのです。ロシアの軍事行動に合わせ、中国軍も同様の行動に出るでしょう。
問題は米国民を含む犠牲者の数です。この問題さえどうにかなれば、トランプ政権は躊躇せず軍事行動に出るでしょう。
これは、オバマ政権との違いを浮かび上がらせる効果が最もあるものです。そして、勝利を手にさらに支持率アップとなります。
オバマ政権は極力軍事力を使わないような施策を続けました。オバマ前大統領は、様々な国際問題を「軍事力」を使わないと公言しました。ですから、紛争を抱える国では米軍の動きを気にすることなく、軍事的プレゼンスを続けてきました。米国に敵対する国が、どこまでが限界(レッドライン)なのかを実際に試すことができたのです。
トランプ政権は違います。「すべての選択肢がテーブルの上にある」と、相手国だけでなく周辺国に状況を的確に伝えられ、状況によっては軍事力を使い、相手国の選択次第で軍事力を使うハードルを下げてみせました。
これは、米国にとって重要なことです。相手国の行動(挑発など)を抑制する効果が十分に発揮されるからです。米国防総省もあれこれ政権側から注文を付けられず、適宜行動できるようになり、犠牲も少なくすることが可能となるからです。
私は対北朝鮮軍事行動はないと判断していますし、もし金正恩が暴発しても対処策は十二分にとられていることがご理解いただけると思います。
だからといって、ミサイル攻撃を想定した準備を怠っていいとは申し上げられません。日本は自然災害がいつ襲ってくるかわからない状況下にあり、ミサイル攻撃を想定した準備は自然災害に対する備えと共通する面が多く、このままの状況下で民間救護システム構築まで進めて、自然災害だけでなく戦災への備えも兼ね備えたシステムができることを期待します。
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