元自衛官の憂い The third
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08011458 | [PR] |
09261055 | 売り言葉に買い言葉なのか |
国連総会出席のためニューヨークを訪れている北朝鮮の李容浩外相が、あくまでも個人的な考えとした上で、「おそらく史上最大の水爆実験を太平洋上で行うことになるのではないか」と発言し世界中から注目を集めています。
公海で核実験するというのですが、正確には“史上最大”ではなく“史上初”となります。
どれほど無謀なことか、日本のメディアが騒ぎ過ぎなのかは私には分析できませんが、直情径行の人間ですから、現実的には何を仕掛けてくるかわかりません。
ICBM(大陸間弾道ミサイル)は、地球の裏側に発射から30分程度で着弾させることができる能力を持っています。核/生物/化学弾頭が搭載かのうで、現代の「悪魔の兵器」と言えるでしょう。
最も恐れられるICBMと核弾頭の組み合わせは、実際に飛翔爆発実験は冷戦体制下にあった米ソ間でも行われていません。
核爆発実験は1960年代まで盛んに行われていたにもかかわらずです。
ICBMのテストは、弾頭部にデータ収集資機材、通信機器を搭載し発射され、送られてくる落下中のデータを収集するものです。
1960年10月、ソ連バレンツ海でソ連海軍のゴルフⅡ(G-Ⅱ)型SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)潜水艦から発射されたR-13ミサイルが発射され、ソ連の核実験場まで飛翔し、威力1.5Mt(TNT換算150万t)相当の核弾頭を爆発させたことがありました。
アメリカでも1962年5月に同じ核弾頭搭載SLBM発射爆発実験が行われました。
SLBM発射爆発実験が行われていたわけですが、ソ連SLBMは射程約600km、アメリカSLBMは射程約1,850kmで、今回、北朝鮮外相が口した核実験とは次元が違います。
当時、SLBMは登場したばかりの新しい兵器で、性能や信頼性は低いものでした。ICBMでは数千kmの射程で発射し、核爆発させる場合、コントロールを失いミサイルが暴走するようなことになれば、仮想敵国にでも落下したら即核戦争となります。
北朝鮮外相の「核実験」は、それほど危険なことなのです。
しかし、日米が騒ぐ北朝鮮のICBMですが、歴史上一回も核弾頭を搭載したミサイル(実弾)が発射されたことがないというだけでなく、あやふやな存在であるICBMに国家存亡を担わせているというのが現実なのです。
北朝鮮がICBMの発射試験成功、核実験成功といったところで、北朝鮮も一度も核弾頭搭載の全射程試験を行っていません。
金正恩の言葉が売り言葉に買い言葉と断じることは、東日本大震災後にいわれた「安全神話」と同じです。
自然現象と違い金正恩という人間が相手ですから、こちら側がコントロールできる可能性はあるのです。ですから、その方法を模索していかなければならないのです。
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