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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/27/18:42

05071003 外交ショー

キャスト


朝鮮民主主義人民共和国最高指導者 金正恩


朝鮮民主主義人民共和国最高指導者夫人 李雪主


朝鮮民主主義人民共和国最高指導者妹 金正与


大韓民国大統領 文在寅


大韓民国大統領夫人 金正淑



軍事境界線での出会いに始まり、文大統領を北朝鮮側に招き入れるなど凝った演出で、首脳会談冒頭では冗談を言ってみたり金正恩の人間味を出す努力をしていました。ラストは


「板門店宣言」で朝鮮半島の非核化を発表しました。



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 演出効果は絶大で、叔父を機関砲で身体を切り裂き、異母兄とはいえ肉親である金正男を化学兵器で暗殺し、多くの国民を収容所送りにし殺すという残忍な独裁者のイメージを完全に払拭させることに成功しました。そして、なによりの効果は多くの韓国人に平和共存の希望を持たせました。



 確かに、これまで非核化を拒否してきた金正恩が、初めて非核化に言及したのですから期待するのは当然かもしれません。しかし、現実には北朝鮮は核ミサイルが完成したことを明らかにしており、北朝鮮がなにを言おうが現実は演出ほど甘くはないということです。



 今回の会談で、年末までに休戦状態に終止符を打ち、「休戦協定」を「平和協定」に格上げし、米朝会談から南北首脳+米首脳の三者会談、中国を加えた四者会談を行い恒久的な平和を構築するというものです。現実には分断されたままの二つの国家は、そのままだということです。こうした裏事情は、巧みな演出で誰も注目していません。文在寅は秋には、平壌を訪問するようです。



 “平和”を演出するのは徹底していて、両国の国防担当者をはじめとする軍事当局者会談を頻繁に行い、軍事的緊張の緩和を図り、陸海空の軍事的緊張と衝突の原因となる敵対行為の全面的中止に合意にしました。個人的には演出は完璧だったと思います。



 現実的には南北首脳会談は米朝首脳会談の打ち合わせ・すり合わせ的な意味合いがあり、非核化がどのように持ち出されるか世界は注目していました。と言うより、関係国が注目していました。



 丸一日かけて首脳同士の会談の予定でしたが、実質的な会談は2時間以下。事前に打ち合わせされていた合意内容を確認するだけで、残った時間は全てが南北の平和ムードを醸し出すことに力が注がれまいた。



 危ういシーンもありました。南北両首脳が二人だけで30分ほど話をするシーンがありました。これは、非常に不味いものです。二人しか居ないと、二人で交わされた会話は誰も証言できません。何か問題が起きれば、言った言わないの水掛け論になります。外交上、最も避けるべきものですが、文大統領がなぜこのようなことをしたのか疑問です。



 日本が望む北朝鮮の完全な非核化とはほど遠いものであることは言うまでもありません。両国が合意した板門店宣言は、「北朝鮮」ではなく「朝鮮半島」の非核化を謳っており、北朝鮮から核兵器がなくなるのかどうかも疑問が残ります。こうした条件で考えれば、北朝鮮は現状を可能な限り変更しないようにして日米韓との距離を縮め支援を取り付けようとしているのを韓国が容認したということでしょう。それだけではありません。ミサイルを除いた重火器が段階的に撤去されることになるでしょうが、そうなれば残る切り札は「ミサイル」だけということになります。



 見た目は平和ムード。これは、あくまでも演出の効果です。現実にはなにも進展はなく、現状のままという最悪の外交ショーだったということです。

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