元自衛官の憂い The third
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日本政府は北鮮のミサイル発射の兆候が探知されたと慌ててミサイルを空自分屯基地から持ち出します。
私には〝演出〟に見えますが、「これで大丈夫」というイメージを国民に植え付けようとしています。
しかし、実際に何らかの効果があるかといえば効果はないのです。
北朝鮮のミサイル発射兆候が出るたびに、日本政府は自衛隊に「破壊措置命令」を出します。防衛省構内にペトリオット(自衛隊式呼称)PAC3を持ち込み、発射準備態勢を取ります。海自イージス艦は日本海に向かいます。
防衛省構内に持ち込まれたPAC3は、射程20km程度ですので、北側では都電荒川線「庚申塚」駅手前。南側は東京メトロ日比谷線「広尾」駅先、東側は総武線「馬喰町」付近、西側では東京メトロ丸の内線「中野新橋」付近。この4つが円内に収まります。
いつ発射されるかわからない状況下にあるのに、〝兆候〟があったからとミサイルを持ち出していて実際にミサイル防衛として役立つか疑問です。
北鮮は日本が弾道ミサイル防衛システム(BMD)を持っているのも承知しています。
北鮮が日本に弾道ミサイルを撃ち込む覚悟で、ミサイルを発射するのであれば奇襲が大前提となることは言うまでもありません。
ちなみに、日本は世界有数のBMDに守られています。にもかかわらず、北鮮は日本のBMDなどどこ吹く風でミサイルを撃ちまくっています。これは重大な問題です。BMDには抑止効果がないという証明にもなります。
北鮮の後に控える「中国」にもまた抑止効果がないことにもなり、何のための誰のためのBMDかわからなくなります。現状では、「あるにこしたことはない」といったレベルです。
中国は弾道ミサイルだけではありません。長距離巡航ミサイルも持っており、BMDでは太刀打ちできません。
北鮮の抑止効果がなく、中国にも無意味となれば、何らかの新しいミサイル防衛システムに替わる何らかの抑止兵器をを至急調達すべきです。
しかし、日本ではBMDは虎の子にしています。本来であれば、「虎の子」ではなく「実用的」なものでなければなりません。
弾道ミサイル防衛は、発射の兆候が見られて動き出すのではなく、航空機の警戒監視と同じように24時間365日、発射態勢となっていなければ意味がありません。
驚くべきことに、日本の現状は北鮮・中国からミサイルを発射されてもやられ放題だということがわかります。
ミサイル攻撃は奇襲が前提です。奇襲はいつ行われるか秘匿されて作戦が実行されます。正規の命令による奇襲であればいいですが、体制が安定していない北鮮で仮にクーデター等で軍高官が独断でミサイルを発射する可能性も想定しておかなければなりません。中国にしても同様です。独裁体制を強化する中国共産党に軍が反発してクーデターも起こり得るのです。
高価なBMDを構築するのも重要ですが、それだけでなく、それに併せてより効果的な抑止手段を見い出し、それを保有しなければならない時代になったのです。
それが今なのです。
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