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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/24/13:10

09250907 金正恩の核・ミサイル開発

新型コロナウイルスのパンデミックで注目されなくなっていますが、核・ミサイル開発に勤しむ北朝鮮の動きがありません。
金正恩の死亡説も出ており、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が出回るようになり、事態が鎮静化したら何が出てくるか心配されます。

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北朝鮮は自国の弾道ミサイルを「火星」と呼称しています。
 
旧ソ連のスカッドBを「火星5」、スカッドCを「火星6」、スカッドを改良して開発した「ノドン」(西側呼称)を「火星7」としています。ノドンは1990年代後半には開発が完了し、試射は1993年5月29日に行われました。
 
当初、ノドンは日本海の能登半島沖北350㎞地点に着弾しだと見られていましたが、後に日本上空を通過し太平洋上に落下した可能性が示唆されました。
 
北朝鮮は2010年代に入り射程の長いミサイルを相次いで開発・試射を続けます。
 
2016年、中距離弾道ミサイル(IRBM:射程3,000〜5,500㎞)、「火星10」と名付けられ6回の試射が行われましt。この年、北朝鮮初の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星1」を3回試射しますが、2017年5月新設計の「火星12」の試射に成功しました。拡大改良型「火星14」の試射にも成功しました。
 
2017年9月、6回目の核実験を北朝鮮は行い、過去最大の爆発理威力を実証しました。北朝鮮は「ICBM搭載用水爆の実験に成功した」と発表しました。
 
同年11月29日、「火星15」の試射に成功。この試写では水平飛行距離1,000㎞程度でしたが、到達高度は約4,500㎞、ロフテッド軌道で発射された試射で、最小エネルギー軌道では(MET:飛距離が最大となる)、射程は10,000㎞を超えるものと見られました。
 
北朝鮮は「銀河2」「銀河3」(テポドン2)でアメリカを射程内に収めてはいましたが、テポドン2はあくまでも衛星打ち上げ機で弾道ミサイルとしては実用的なものではありませんでした。「火星15」は移動式発射機(TEL)を用いた実用的ICBMで日米の衝撃は大きなものでした。
 
北朝鮮は2006年から核実験を続け、爆発威力を少しずつ増大させ小型化(弾頭化)も進められてきました。2016〜17年頃には、弾頭化に成功したものと思われます。
 
『防衛白書』では2015年版で「(核爆弾の)小型化、弾頭化に実現に至っている可能性も排除できない」、16年版では「小型化・弾頭化へ実現に至っている可能性も考えらえる」、17年版では「小型化・弾頭化の実現に至っている可能性が考えられる」と微妙に変化させ、19年版では「小型化・弾頭化を既に実現させていると見られる」とし、自衛隊/防衛省は北朝鮮の核兵器の弾頭化・小型化は既に目処がついたものと判断しているようです。
 
弾頭数は不明ですが、アメリカの分析では核弾頭30〜60個分の核分裂物質と、弾頭は10〜20個と見積もっています。北朝鮮は既に「核保有国」と言えます。これは、大変に重い事実です。拉致被害者解放交渉など、北朝鮮は応じる気など全く無いでしょう。交渉に応じるとすれば、日本がどれほど〝カネ〟を出すかでしょう。
 
北朝鮮問題は切迫したものですが、現状でもアメリカによる「斬首作戦」を実行される可能性が高まっていると見るのは当然です。
 
核・ミサイル開発だけではありません。北朝鮮の外交は狡猾です。日本の外交など小学生レベルです。
 
北朝鮮は核・ミサイル開発が落ち着くと、一転して平和攻勢に出ました。
 
2018年の平昌五輪で南北合同チーム編成など、融和ムードを演出します。4月になると、核/ミサイル開発中止を公式に声明。5月には、プンゲリ(豊渓里)の核実験場に外国メディアを招き、実験用坑道の爆破を公開。6月にベトナムで米朝首脳会談を実現させました。
 
米朝首脳会談は歴史に刻まれるもので、軍事衝突寸前まで進み首脳会談を実現させたのです。緊張をエスカレートさせ、融和姿勢に転換し、トランプ大統領の性格まで利用して会談を実現させるというウルトラCをやってのけたのです。
 
米朝首脳会談が停滞すると、北朝鮮は2019年から弾道ミサイル発射試験を再開しました。この試射では超射程のミサイルを使わないミサイルを連続発射しました。射程は朝鮮半島に限定したもので、中にはロシアのイスカンデルに酷似したものがあり、これまでとは違った衝撃を与えました。
 
イスカンデルはイスカンデルMで(推定)射程400㎞、ポイント・エリアの標的、敵火力兵器、防空・対空ミサイル防衛兵器、司令部や通信施設などを標的として使われます。弾頭はクラスター爆弾、燃料気化爆弾、威力増大型爆弾、地中貫通弾、電磁パルス弾頭など各種弾頭があります。北朝鮮の試射には「超大型放射砲」と呼ばれる多連装ロケットも含まれていましt。
 
これは厳密には国連安保決議1695号に違反しますが、射程ではアメリカに届かないものでアメリカ(トランプ大統領)は黙認しました。
 
10月2日には新型SLBM北極星3を発射し、最大射程2,500㎞と見られますが、アメリカはこれも黙認しました。
 
核・ミサイル開発、狡猾な外交と北朝鮮は一筋縄ではいきません。全てが計算ずくで行われています。
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