元自衛官の憂い The third
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01290712 | やる気のない人間の存在はただ厄介なだけ! |
日本は平和だと思います。本当に平和です。現実無視どころか現実逃避した平和です。
前回は裏切りは外交に付き物というお話でしたが、今回は裏切られてもしたたかに生きる術を身に付けているかどうかというお話です。
日本では「希望的観測」が全てに優先されます。これが、原発事故後によく言われた“安全神話”です。
アメリカが戦略をアジアにシフトするとのニュースに、中国が台頭=中国の脅威増大という図式で好意的に受け止めているのが我が国の味方です。中には“やっぱりアメリカだ!”などと思っている人もいるようですが、そうは問屋が卸しません。
アジアに戦略がシフトしたといっても、中東は完全に世界の思惑とはかけ離れた争いの場になっています。
シリア内戦が、こうした争いの真っただ中に置かれています。難民が溢れ、ヨーロッパ諸国に悪影響を見せ始めてます。
シリア情勢はシーア派の分派であるアラウィー派(アサド政権)が政権を掌握しており、シリアを利用して国際社会で発言力を強めようとするロシアが支援しています。内戦が長期化している原因は、簡単なことです。アメリカが消極的介入しかしていない一点に尽きます。
2013年夏、オバマ政権はシリアのアサド政権に対し「化学兵器を使用した」として攻撃を宣言しました。しかし、国内ではイラク・アフガンでの軍事的失敗で厭戦傾向にあり支持が広まりませんでした。すると、あってはならないことですがシリア攻撃をドタキャンしました。
ドタキャンの理由は、ロシアの指導の下「化学兵器廃棄に同意した」というものでした。シェールガス革命で石油問題は解決し、中東に関心の低くなっているアメリカにとって消極的な姿勢は当然の選択です。中東問題でアメリカは完全にやる気がありません。
国家の指導者の宿命というか、性なのでしょう。政権が持ちこたえるのは難しいと判断した場合、何かを成し遂げたよりも歴史に名を残すことを考えるようです。半島国家の在日大統領など、その典型です。
オバマ大統領はイランと和解することで歴史にその名を刻むことに目指し成功しました。さらに、オバマ大統領は日本を消極的だった世界に関与することを転換させることにも成功しました。
イランとの和解は「歴史的」であることは誰も否定できません。ただ、ロシアのシリア介入は予想もしない展開を見せました。
反米のアサドと闘うISはアメリカにとって実は捨て難い存在です。敵の敵は味方というわけです。証拠というわけではありませんが、アメリカ国内のテロが少なく、フランスでのテロが多いのはそうした事情があるからではないでしょうか。
ISは過激さがウリですから、残忍さを映像を使い世界中にアピールし、“残酷なテロ組織”攻撃にアメリカは踏み切りますが、ダラダラとただ攻撃を長引かせるだけで効果はほとんどありませんでした。根絶やしにしてしまえば、シリアでの軍事的影響力が低下するわけですから、アメリカにとってIS攻撃は苦渋の決断だったことでしょう。
そこにロシアが現れ、ロシアはガチでISを標的に攻撃を繰り返した結果、大きな資金源である石油関連施設をロシアが破壊すると、ISは一気に弱体化してしまいました。
この攻撃にアメリカは「反アサド派」を攻撃していると非難しましたが、そんなことはわかりきったことです。反アサド派=ISなのですから。
本来であれば真っ向から米露対決という構図になるかと思っていましたが、やる気のないアメリカは国連での妥協で納得します。
やる気のなくなったアメリカはサウジにとって、中途半端な存在しかありません。イランと事を構えるような動きをすれば、アメリカが黙っていないことは以前の姿であって、今は興味も示さないことがわかっていたと思われます。
それが、シーア派の指導者をサウジが処刑したことでわかります。それは、イランも同じです。
双方とも事を構えようとしても、アメリカは黙って見ているだけというのがわかりきっているからこそ、非難を応酬しているのです。
しかし、現実的には互いに拳を振り上げてはみましたが、共に相争うことは得策ではないことがわかっています。サウジはイランとの戦争に勝てる要素がなく、イランにとっても戦争となれば、これまでの制裁で疲弊した国民・国家に大打撃となるからです。
これからどうするか難しい状況になっているのがサウジ・イラン関係(中東情勢)です。シェールガス革命は、世界に大きな影響を与えました。アメリカの戦略を変え、ロシア経済に打撃を与えました。
実はどちらにも決め手となる外交カードの無い我が国は、中東での動きに注視していなければならないのですが、そんなことなどどこ吹く風というのは空気が読めてないのか現実がわかってないのか…情けなくなります。
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