元自衛官の憂い The third
軍事的色眼鏡で見る世界
軍人は究極の合理主義者です。
合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。
軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。
家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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07241238 | [PR] |
08250216 | ムリーヤ |
友人の甥御さんからA400M 輸送機の大きさが、「“アントノフ”より大きいですか?」と質問されました。A400Mを見て驚いた筆者の表現不足(能力不足)が原因です。
“アントノフ”と言われましても、An−2に始まり、輸送機は数多存在します。推測ですが、An−225ムリーヤのことを言っていると思われます。
とはいえ、A400Mも大きいのに変わりはありません。わかりやすい大きさを例えると、空自C−2輸送機(実際にはA400Mの方が大きい)をプロペラエンジンで飛ばすイメージを持っていただけると良いと思います。
筆者の世代はプロペラ輸送機=C−130ですから、A400Mの大きさに驚いたことをわかっいただけるかと思います。
さて、今回はAn−225ムリーヤについてお話しします。ムリーヤの大きさを表現すれば、過去・現在の巨人機の中で最大の大きさです。次元が違う、桁外れの大きさです。
ムリーヤは世界最大の実用機であることは有名ですが、ムリーヤは世界で一機だけなのです。
1980年代、アメリカのスペースシャトルに対抗してソ連では「ブラン」の開発が進められていました。「ブラン」を輸送するために開発されたのが、ムリーヤでした。2機が製造されましたが、完成したのは1機だけです。世界最大の実用機であり、世界最大の重量機ということもムリーヤを表す言葉でしょう。その重量は600トンです。
ソ連のブランは一度だけミッションが行われましたが、ムリーヤもブランを搭載して飛行したのは一度だけでした。ソ連が崩壊して、ムリーヤはウクライナの工場に放置されたままでした。修理用の部品取りされ、スクラップ同然になっていました。1999年、アントノフ航空などが超大型貨物輸送で成功すると、ムリーヤを現役復帰させる計画が持ち上がりました。
1年ほどかけて改修され機体の強度を上げ、補修、コクピットのデジタル化などが行われました。
日本には3回飛来していると思います。世界最大の輸送機として注目されてしまいますが、1機しかないことはあまり知られていません。
ムリーヤの巨大さを物語るものは、貨物搭載量でアメリカ空軍輸送機C−5(122t)、同じAn-124(150t)を大きく上回っています。公称250t とされていますが、スペックでは最大離陸重量600tとなっており、空虚重量175t ですので、燃料等の搭載を考慮すると300t以上の搭載量があります。まだピンときませんよね⁈ ムリーヤの貨物室は与圧されていませんが、貨物室に座席を設置すると、1,500〜2,000人が収容出来る容積です。
でも、ここまで大型になると操縦は難しいでしょう。制約が多く、操作ミスが墜落につながりかねません。ムリーヤ、少しはわかっていただけたでしょうか。
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