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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/28/15:05

06021940 後方支援≠安全

平和ボケですから、どうすることもできませんが、あまりにも酷すぎる日本の政治です。


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 「銃後の守り」という言葉をご存知の方はいらっしゃいますか?

 かつての戦争で日本が盛んに使ったプロパガンダの一つです。直接戦闘に加わるのではなく、軍隊が消費する資源や物資の供給を支えることで戦争の遂行と勝利を得ようというものです。

 国家総力戦となる近代以降の戦争では、年齢的な制約や病気、女性であることなどの理由から、入隊できない者に対し勤労動員して戦争に参加することを促しました。

 しかし、現実はと言うと航空機の発達で前線も銃後も区別なく攻撃されることになり、銃後の産業地帯等を攻撃目標にするようになりました。

 現代ではミサイルが発達しており、ひとたび開戦となればミサイルによる飽和攻撃により軍事施設だけでなく産業・インフラ等への攻撃も行われ、開戦直後にある程度の決着がつくことでしょう。

 安倍政権の打ち出した自衛隊によるアメリカ軍等への後方支援ですが、とてつもないことを事も無げに活動範囲を拡大させ、首相は平然と「戦闘が起こったときには直ちに部隊の責任者の判断で一事休止する、あるいは退避する」と党首討論で言い切っています。

 専門的になりますが、「後方支援」という概念は旧軍では希薄でした。なぜなら、機動力を重視するあまり18世紀頃のフランス軍のように現地調達により補給部隊を縮小し、軽快な機動力を確保しようとしたためです。自衛隊では国内での活動が前提ですから、兵站は軽んじられてきました。

 「後方支援」を英語ではcombat service supportです。戦闘へのサービス・サポートということです。適当な日本語は存在しません。「補給」「整備」「輸送」「医療」と多岐にわたっており、〝後方〟のすべてが後方支援に含まれます。

 後方支援=安全というのは素人考えです。補給部隊は当然ですが軽武装で多くの物資を輸送しなければならず敵の攻撃目標になりやすいことが第一です。日本では、「兵糧攻め」という言葉があるほどですから、補給を遮断すれば攻撃側に有利になります。

 これだけでも、安倍首相の進める米軍の「後方支援」は、危険であり安倍首相の説明とは違い現実と大きく乖離したものです。

 党首討論で「大規模な空爆を(他国と)ともに行うことはない」と誇らしげに語っていましたが、航空基地で弾薬の補給や整備に従事することがあり得るわけですから、空爆に参加していない=武力行使には当たらないとはならない状況になります。

 空爆されている国にとっては、その基地を攻撃するのは当然のことで戦闘に巻き込まれないというのは画餅です。

 〝後方〟支援活動中の我が自衛隊輸送部隊が、米国と戦闘中の国・組織・集団から攻撃され、無残な姿を日本の国内ニュースの映像で流れることになるでしょう。

 突き詰めて言えば、迷彩服に身を包み、銃を手にした集団が装甲車などで移動していれば、誰でも「軍隊」と見るのは当然であり、「私たちは後方支援だけをする日本国自衛隊です」と説明しても通じるはずがありません。

 自衛隊輸送部隊が攻撃され、当然、自衛隊は反撃します。重武装ではないため、簡単に撃破されることになるでしょう。戦死者、捕虜も出ることでしょう。

 後方支援という言葉のマジックから、〝後方〟にこだわるあまり、輸送部隊を戦車や装甲戦闘車両、攻撃ヘリなどで掩護されることはなく輸送部隊が壊滅する事態さえ想定されるのです。

 攻撃する側にとって輸送部隊を襲撃するのは前線の支援作戦であり、相手は軽武装なのはわかりきっているので必ず実行されることになります。

 こうなったら最悪です。敵に攻撃されたことから「戦闘地域」となり、自衛隊自ら救援に行けないことになります。捕虜も助け出すこともできません。戦死した自衛隊員の遺体すら回収できないのです。

 集団的自衛権などと威勢のいい話ですが、「後方」は弾が飛んでこない所ではないのです。頭が悪いから、この程度の発想なのか、それとも国民を騙すつもりでこうしたウソを言っているのかはわかりませんが、今回の法整備は重大な事態を引き起こす可能性があるのです。

 そうなってから、また「想定外」だと言い訳するのでしょうか。平和ボケ万歳!

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