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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/28/12:59

01010000 新年を迎え

世界に暗雲が立ち込めています。日本からは遠く離れた場所のため、日本人にはそうそう実感できませんが、暗雲は少しずつ確実に広がっています。

年末の君塚元陸将の訃報、日本政府の大失態、そして戦争の危機の前に私は素直に新年を迎えられないでいます。


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「ファシズムや戦争といったものは、いつでも正義という名の下に行われるんだ。歴史が証明している」

私の好きなドラマの中での言葉です。

私が日本だけでなく世界の出来事に目を向けるときは、必ずこうした目線で見つめるようしています。

20151113日に起きたパリの同時多発テロ以降、世界は対ISに向け大同団結するかのようでした。しかし、無差別テロを繰り返す集団であっても、それに対する国際社会の姿勢は「国益」が優先し、団結はできませんでした。大同団結は敢え無く潰えた夢物語でした。

これだけではありません。

こうした背景からテロリストに対し先鋭化した意見を口にする欧米の指導的立場に立つ人が現れました。

フランスの極右政党の女性党首の提言です。

1、フランスはいくつかの同盟国や「敵国」と断行すべきだ。敵国とは急進的イスラム主義者と良好な関係を続けている国を指す。それはまたテロリストの企業に曖昧な態度をとっている国のことでもある。テロリストたちと闘っている国こそフランスの真の同盟国であり、そのように扱われるべきだ。

2、オランド大統領は国家非常事態宣言を発し、一時的とはいえ国境を封鎖すると明らかにした。しかしながら、欧州連合についていうならば、フランスが国境を制御する権限を取り戻すことが絶対不可欠だ。国境がない限りは、可能な限りの安全も秩序も保たれない。

3、フランスはもろく脆弱にさせられてきた。我々は「強いフランス」を取り戻すべきだ。というのも、長きにわたって、予見可能な脅威の増大に直面しながら、防衛力・国防力が瓦解、崩壊されるのを甘受してきたからである。

4、とどのつまり、イスラム原理主義は絶滅、根絶されなかればならない。イスラム主義の組織をフランスは禁止し、急進イスラム主義者のモスクを閉鎖し、我が祖国に対する憎しみ、憎悪を説いて回る外国人は追放されるべきである。イスラム主義の勢力支配地域に参加する二重国籍者についていえば、彼らの国籍ははく奪されるべきであり、我が国への入国を禁止しなければならない。

この提言は排外主義であり、欧州連合からの脱退を求め、軍事大国を目指すという過激なものです。

アメリ大統領共和党候補ドナルド・トランプなどはもっと過激です。

トランプは、メキシコからの不法移民は「強姦者」「ドラッグディーラー」などと差別発言し、不法移民の流入を防ぐために「メキシコとの国境に万里の長城を築く」と、そしてその費用をメキシコに出させると公言しました。

最近では「イスラム教徒のアメリカ入国禁止を要求する」とまで言ってのけ呆れる限りですが、それにやんやの喝采を送るアメリカ市民がいるのですから、現在の状況はクレージーであり怖ささえ感じます。

威勢のいい言葉のように受け止める人がほとんどだと思いますが、これらの発言はファシズムの思考から生まれたものなのです。

ファシズムとは、学問的解釈は非常に広く、何が何だかわからなくなります。全体主義、軍国主義、第二次世界大戦後は社会主義国家から政治的なレッテル貼りに利用されるようになりファシズムの解釈がさらに難しくなりました。

反日大国「中国」でも、日本との戦争(日中戦争)を「反ファシズム戦争」と位置付けています。

イギリスの作家ジョージ・オーウェルは、1944年に「ファシズムという語は、ほとんど全く意味がない。ほとんどのイギリス人はファシストという語をいじめっ子・ガキ大将(bully)の同義語として受け入れている」と書き残しています。このようにファシズムの意味が曖昧になり、拡大解釈されているのが今の私たちの状況です。

第二次世界大戦が枢軸国の敗北で終結すると、「ファシスト」が侮蔑的意味を持つようになりました。これが、やがて世界に広まり、ファシズムの意味が曖昧なものとなっていきます。

反日大国が、敢えて「反ファシズム戦争」というのは反日の意味合いがあることからもわかります。

ファシズムとは何か。

単一の言葉でファシズムを説明することはできません。独裁者が君臨する国家でもありません。全体主義であり、排外主義であり専制主義であり、国粋主義が挙げられます。

フランスでのテロ事件後、フランスがイスラム教徒に対し様々な動きが見られるようになりました。

これこそが、「ファシズム」です。

日本人は幸運にもユダヤ人に対する差別や迫害の歴史はありませんが、歴史的には約3000年前からユダヤ人迫害は続けられてきました。

キリスト教がヨーロッパに広まると、イエスはユダヤ人によって十字架にかけられたとの俗説が流布され、ユダヤ人は「神殺し」とされました。被弾圧民族であるユダヤ人は、移動がしやすいように宝石・貴金属・金融の分野で活躍するようになり、そうした経済活動も反ユダヤ感情の一つとなったとされています。

私が恐ろしいと思うのは、ユダヤ人に対する迫害が、21世紀になり「ユダヤ教徒」から「イスラム教徒」にすり替わったということを誰も口にしていないことです。

歴史上、ユダヤ人を大量虐殺したのがナチス・ドイツですが、その根拠にされたのは独裁者ヒトラーの見解ではなく、当時、ドイツにあった風潮だったのです。

第一次世界大戦において、ドイツ帝国はユダヤ人団体が協力し、ドイツ軍内にも多くのユダヤ人が存在していました。

しかし、ドイツ国内の反ユダヤ主義者がユダヤ人が戦争に非協力だと攻撃しました。そして、ドイツが戦争に敗れると、敗北の原因はユダヤ人や社会主義者による「背後からの一突き」という言葉でユダヤ人攻撃が受容されていくようになります。

ナチスはこうしたドイツの風潮を利用して政権の座に就いたにすぎません。

ドイツは戦後、ヒトラーに全ての責任を押し付け事態の収拾を急ぎました。ユダヤ人に対する迫害を頬かむりし、責任はヒトラーでありナチに押し付けてしまったのです。日本も不幸にして似たような過ちを犯しています。

イスラム教徒とイスラム過激派を区別せず、闇雲にイスラム教でひとくくりにして攻撃することは許されるものではありません。

現在の状況は、第二次世界大戦前のユダヤ人を迫害していた時代と全く同じなのです。「ユダヤ人」が「イスラム教徒」にすり替わっただけで、本質は何ら変わっていないのです。

独裁者など怖くありません。最も怖いのは、排外主義であり差別主義なのです。人の心に眠るこうした悪感情を利用し、無能な指導者が政権の座に就くとポピュリズムによりさらに悪政を行うことなのです。

ファシズムが広がり、やがて戦争を迎えることでしょう。

それがいつかは、私には未来を見ることはできません。しかし、再びファシズムの時代が訪れ、やがて戦争になることは遠い未来のことではありません。すでに、その種は植えられ、芽吹き始めているのです。

私は未来を見通す能力がなくて幸いなのかもしれません。

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