元自衛官の憂い The third
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09041247 | 火力演習の意味が見い出せない |
筆者が現役時代には〝火力演習〟と呼んでいた記憶がありますが、現在は「総火演」と呼ばれているようです。富士総合火力演習ですから「総火演」で間違いはないのですが…女性来場者が増えているとかで、〝可愛い〟などといった言葉が出てきているようで個人的に大変危惧しています。
見学してあの火力が日本の国内で使用されると理解しているのでしょうか? 自衛隊は本土決戦部隊です。「侵攻する敵を出来る限り抗戦し敵の出血を図りつつ、日本本土に引き寄せ来援する(はず)の米軍の到着を待つ」のが自衛隊のお仕事です。
火力演習でぶっ放された銃砲弾は、有事には日本国内で炸裂するのです。それを理解した上で、可愛いと言えるのでしょうか?
筆者は右も左も意味を理解せず、このままでは遠くない未来に日本が有事となった場合、この国は無くなっているような気がします。
筆者は火力演習は軍事素人にはウケていますが、自衛隊の抱える大きな問題を目くらまししているだけだと思います。火力演習に「離島奪還」などと勇ましいシーンを演出していますが、ハッキリ言って真面目にやっているのか?とさえ思ってしまいます。
「日本版海兵隊」などと浮かれていますが、海兵隊機能を持たせた部隊を運用するのであれば、陸海空の統合運用が最も重要なカギになります。自衛隊高級幹部たちは、南西諸島方面での有事を想定し、中国等が侵攻し占領された離島を奪還する目算をしているようですが…肝心要の統合任務部隊が存在していません。
「日本版海兵隊」を戦場に送り届ける船すらなく、事前の様々な行動もできない現状なのに、それらを飛び越して日本版海兵隊誕生=これで大丈夫!と訳の分からない自信を見せるのは詐欺というものです。
南西諸島方面有事を想定しておきながら、沖縄には陸海空が寄り添って那覇基地に各部隊が集中しています。有事を想定した地域に最も近い沖縄ですら、この有様なのですから真面目に有事を想定しているとは思えません。指揮所は地下深く坑堪性のある場所を確保しなければならず、かつての沖縄戦で明らかなように、沖縄本島には山岳部がありません。
何よりも問題なのは、自衛隊はおカネが無いということです。防衛予算がニュースで取り上げられることはあっても、その予算が適正なのかどうかは全く注目されていません。そして、人手不足です。目立つものは率先して買い揃える癖が身についている陸海空自衛隊ですが、兵士それぞれが持つべき「銃」すらまともじゃありません。陸は89式が出回っているようですが、海空ではいまだに64式です。確認はしていませんが、第一線部隊ではない後方勤務の陸自部隊ではまだ64式を使っている可能性があります。89式の制式採用から30年になろうとしているのに、陸海空に行き渡っていないのです。
不安を煽るようですが、南西諸島方面で有事が考えられる事態になれば、数万の避難民をどうするのか? 来援してくれるであろう米軍のエスコートをどうするのか? シーレーンを航行する民間商業船舶の護衛はどうするのか? 離島侵攻が予想される場合に機雷等を敷設するのか? 侵攻作戦発動前に予想されるミサイルをどう防ぐのか?
でも、陸自は「離島奪還」作戦が可能であるかのように火力演習でショーを見せている…これで真面目に考えていると言えますか???
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