元自衛官の憂い The third
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07280704 | [PR] |
08051105 | 核兵器使用 |
昭和20(1945)年8月6日午前8時15分、人類史上初の核兵器が実戦投下されました。
日本では「原子爆弾(原爆)」と呼ばれますが、これは日本の一つの失敗です。「原子爆弾」とは、核兵器の(爆発)原理による分類の一つでしかなく、核兵器とは別物である印象付けをしてしまうことも考えられます。
原理による分類では、
核分裂:原子爆弾
核融合:水素爆弾・中性子爆弾
残留放射能:コバルト爆弾
のような分類がされます。
核兵器の歴史は「アインシュタイン=シラードの手紙」から語られなければなりません。
この手紙は、人類史上に名を刻まれる理論物理学者アルベルト・アインシュタイン。シラードはレオ・シラード物理学者・分子生物学者を指しています。
二人の物理学者が連名でルーズベルト大統領に宛ててウランによる連鎖反応が実現され、それが強力な爆弾になると指摘。アメリカ政府に注意喚起し、アメリカ政府と物理学者が協力する仕組みを構築を訴え、やがてはナチスが核エネルギー兵器を手にする可能性を指摘しました。
ここで記しておきたいのは、アインシュタイン、シラードともにユダヤ系であるということです。アインシュタインはユダヤ系ドイツ人、シラードはハンガリー生まれのユダヤ系アメリカ人です。
この手紙からアメリカ政府は核兵器開発のきっかけになりました。
史実では、シラードはナチスが核兵器を保有することを恐れ、これに対抗するためにアメリカ政府に核兵器開発を勧めたのでした。
さらに時間をさかのぼると、この手紙の原案を出したのはほかにユージン・ウィグナー、エドワード・テラーという名前が出てきます。
ユージン・ウィグナーはハンガリー出身のユダヤ系で物理学者、エドワード・テラーもハンガリー出身のユダヤ系理論物理学者です。
陰謀論者が好みそうですが、「ユダヤ系」という言葉でひとくくりにされてしまいます。
後にユージン・ウィグナーは、「核兵器が開発されたら、いかなる二つの大国も、それらを統治する上位の権威機関によって軍事力がコントロールされない限り平和を保つことができなくなると我々は悟り、もしそれが核戦争を廃絶するほど充分有効なものとなるなら、あらゆる形の戦争をも根絶するのに有効なものとなるだろうと期待した」と核開発を勧めた理由として語っています。
核抑止論に基づいたものです。核抑止論とは、「化兵器の保有が、対立する二国間関係に互いに核兵器使用が躊躇される状況を作り出し、結果として重大な核戦争と核戦争につながる全面戦争が回避される」との理屈から核保有を肯定的に捉える考えです。
シラードとウィグナーはアインシュタインのドイツ時代の教え子という関係もありました。
シラードとウィグナーは、核分裂を兵器として利用できること、その材料となる(当時)ベルギー領コンゴで採掘されるウラン鉱石がナチスの手に渡ることの危険性を、ベルギーのエリザベート王太后と親交のあるアインシュタインに手紙を書いてもラ王としたのが最初だとされています。
アインシュタインは王太后ではなくベルギー政府閣僚に手紙を書くことを快諾し、アメリカ政府に添え状を付けてもらえるようにと考えました。
ホワイトハウスとの接触を試みから、ルーズベルトの選挙で演説原稿を書いた経済学者と知り合い、手紙をルーズベルトに渡すと快諾し、手紙はエリザベトではなくルーズベルトに宛てた手紙となります。
この手紙から核兵器開発に乗り出したアメリカ政府ですが、核兵器使用を公式には日本列島上陸作戦での直接戦闘を回避するため、戦争を早期に決着させるために使用したとされています。
ここで記憶しておかなければならないのは、後に大統領にもなるアイゼンハワー連合国遠征軍司令官、太平洋艦隊司令長官ニミッツ提督など主だった軍人は日本への核兵器使用に反対していました。核開発を先導したシラードも実戦使用には反対しています。
それでも使用された核兵器ですが、なぜ、核兵器が使用されることになったのか。それも、広島に続き長崎にも使用されました。長崎では「誤爆」の可能性もあり、作戦を精査しなければならない日本ですが、ただ闇雲にアメリカにすがるだけでなく、真の友情を育みたいのであれば事実を政府が調べ、国民に公表すべできではないでしょうか。
とかく、日本人は兵器=金儲けのような発想をしがちで、どうしてもそこから抜け出せなくなり、真実とは遠い〝出来事〟に目が向いてしまうことがあります。
それが、日本の周辺環境を生み、韓国・北朝鮮・中国の現在の状況を生み出してしまったと私は解釈していますが、事実は事実として受け入れることは困難でも、敢えて受け入れてこそ未来が啓けるのではないでしょうか。
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