元自衛官の憂い The third
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05150728 | オバマ大統領広島訪問 |
共和党大統領候補にD・トランプ氏指名が確実視されています。ようやく、日本国内でも"トランプが大統領になったら"と、様々な点から想定される問題について言及されるようになってきました。時すでに遅しといった状態です。
ヒトラーじみた発言など目立ち、調べてみるとドイツ系移民の子供だというのがわかりました。
オバマ大統領が広島を訪問することが決まり話題になっていますが、舞台裏を支える人たちはてんてこ舞いさせられていることでしょう。シークレットサービスや外交保安局、日本では警察庁・広島県警などが対応に当たっていると思われます。
訪問が決まり様々な期待が広まっていますが、私は今回の訪問は期待しないで見守るべきだと考えます。なぜなら、任期が切れる再選のない大統領にとって、広島訪問は個人的なレジェンドを作るためのものであり、短い任期中に核廃絶に向けて何らかのアクションを起こすとは考えにくいからです。サプライズの多いオバマ大統領ですから、何らかのアクションを起こす可能性はゼロではありませんが期待せずに見守るべきです。
原爆についてお話ししたいと思います。なかなか核兵器を学ぶ機会はないので、私自身も手探り状態です。第二次世界大戦は核兵器だけでなく、様々なものを変える一大転機になったのは意外に知られていません。今日は、その中で「原爆」についてのお話です。
広島に昭和20(1945)年8月6日午前8時15分、マリアナ諸島テニアン島北飛行場から飛び立った1機のB-29により1発の爆弾が投下されました。
全長3.12m、最大直径0.75m、総重量5t。約60㎏のウラン235が二分割されて詰められていました。資料のように中には3インチの内径の砲身状の筒があり、この筒の両端にウランが分けられていました。一方を爆薬で飛ばし、もう片一方に衝突させて一気に臨界させて核爆発させるものでした。砲身型から"ガンバレル"と呼ばれています。
実は核爆発効率が悪く、広島上空で炸裂したこの原爆はでは詰め込まれていたウランのうち0.7㎏しか爆発しなかったという計算結果が出されています。1.16%しか核分裂しなかったのです。しかし、あれだけの被害を及ぼしたのは事実であり、核兵器がどれほど恐ろしい大量殺りく兵器であるかがわかっていただけると思います。ガンバレル型はすべてのウランが臨界に達する前に、爆発で吹き飛ばされてしまうという構造上の問題がありました。
35万人が住む広島市の高度567mで炸裂しました。後年、科学者たちの行ったシミュレーションでは、炸裂前から大量の放射線が広島市上空から降り注いでいたとみられています。炸裂直下の爆心付近に、まず中性子線が降り注ぎます。そして、その中性子線が様々なものにぶつかりガンマ線を発生させます。
爆心から1km内では、二人に一人が亡くなるほどの放射線が降り注いだと見積もられています。放射線を浴びた人体は、細胞が自殺するアポトーシスを起こします。内臓や骨髄に致命的なダメージを与えます。
炸裂と同時に、放出された大量の放射線が空気とぶつかり青白く発光します。火球の温度は40万度という太陽の表面温度の70倍近い超高温になります。炸裂から0.2秒後、火球は直径310mまで膨張し最も明るく見える瞬間を迎えます。火球の周囲にはガンマ線が空気と反応して、紫色に輝いていたと見られています。火球により熱線が放たれ、衝撃波を生み出します。
火球ができ、膨張するため周囲の空気を一気に押し出します。衝撃波です。衝撃波は音速を超え、周囲に襲い掛かります。原爆ドームが、あのような形になった理由が熱線と衝撃波の影響からです。丸屋根は銅板で、他の屋根はスレート吹きだったそうです。熱線により銅は溶解して溶け落ち、スレートも表面が熱線で一部が溶解し、衝撃波でスレートが滑り落ちたようです。ちなみに丸屋根の動画溶け落ちるのに要した時間は、1秒以下と見られています。
衝撃波ですが、炸裂から3秒で1.5kmの地点にと到達しました。7.2秒で3km、10.2秒で4kmにまで到達していたことがわかっています。
大雑把な数字だけですが、これが核兵器の現実なのです。日本や韓国に核武装を認めるかのような発言をする大統領候補(予定)が現れ、大きな話題になっていますが、日韓が核武装に踏み切れば、これ以上の威力のある大量殺戮兵器がさらに広まることになります。
そしてまた、こうした兵器が私たちの頭上に降り注ぐ可能性も日々高まっていることも忘れてはなりません。時間の経過と共に可能性は上がっているのです。
オバマ大統領の広島訪問は、日本人は何を為すべきか…考える機会にすべきだと私なりの解釈をしています。安直に北鮮に肩を並べるように核兵器を作るのか、それとも廃絶へと大きなアクションを起こすのか。
いずれにしても、新たなアメリカ大統領が誕生すれば動きが見えてくることでしょう。それは、決して日本がこれまでのような安穏とした日々を過ごせる保証はさらに低下してしまいます。そうした現実とどう向き合うか、日本人一人一人にかかっているのです。
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