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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/28/08:03

10131419 あなたの知らない世界 ~ただの勉強不足~

稲田朋美防衛相が南スーダンを訪れました。相変わらず、現場を無視したファッションセンスですが、お勉強はできるのでしょうが、実は彼女は保守派だけあって勢いだけで喋る人です。


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稲田朋美は雑誌で、「日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべき」と述べたそうですが、この言葉が勉強不足のなによりの証拠です。

核兵器技術については、専門的に学んでいないため筆者の手に負えませんが、歴史や核戦略の視点から稲田朋美の勉強不足と日本の核武装はできない理由をお話しします。長くなると思います。

稲田防衛相はどこまで理解しているのかわかりませんが、日本では戦後から様々な立場から核開発・核武装の研究が行われてきました。

1960年代には、政治学者の永井陽之助、蝋山道雄、核物理学者の垣花秀武らが日本の核武装について分析し『日本の安全保障―1970年への展望』を発行しました。

ここで特筆されるのは、右でも左でもない政治学者の分析だということです。そこで、98年に運転が終了した「東海原子炉」を利用し兵器級プルトニウム生産に適しており、プルトニウム型原爆であれば200300発が生産可能だと、日本の核兵器開発能力を認めましたが、日本が仮に核兵器開発に向かえば、開発の費用、造っても使えない(いつ使うかわからない)核兵器の費用対効果(今風だとコスパ)が低く、国際政治上のインパクトが強すぎると「米国の核抑止力に依存すべき」と結論しています。

米国バイデン副大統領が習近平に、「日本は一夜で核武装可能」と語ったとことを明かしましたが、これはいわゆる"ブラフ"でしかありません。

1960年代、内閣調査室でも核武装に関する報告書がまとめられています。この報告書でも日本の核武装は否定されています。

その理由として以下ことが挙げられています。

1)濃縮ウランの製造能力がないため、東海原子炉のプルトニウムを使ったプルトニウム型原爆しか造り得ないが、日本のプルトニウムはIAEAの査察下にあり軍事転用はできない。

2)プルトニウムを取り出す再処理プラントがない。

3)財政上困難。

4)核戦争となった場合、縦深性のない日本では核保有=核抑止になり得ない。

以上のことから、日本が核開発に乗り出してもメリットがないとの結論が出されました。

これだけなら、稲田防衛相の勉強不足だと言い切れませんが、70年代には中曽根康弘氏が核武装研究を命じ、「(当時)開発費用2000億円、5年以内の核武装可能」との結論と「実験場がなく(核開発・核武装)実現は不可能」との結論を導き出されています。現在の貨幣価値で2兆円、維持費を国民に説明し納得を得られるのか、実験場をどうするのか考えなければなりません。中曽根氏がこうした研究をしていたことを、稲田防衛相はご存知なのでしょうか。

それよりも、稲田防衛相に質問をぶつけたデパートのおばちゃん、こうした事実を突きつければいいと思うのですが…おばちゃんも勉強不足のため知らないのでしょうね。

80年代、90年代にも防衛庁などで研究されていますが、どちらも日本の核開発・核武装は否定されているのです。

米国大統領候補トランプ氏が、日本(韓国)の核武装を認めるかのような発言をしましたが、仮に米国から日本の核武装を認められても、問題が解決するというものではありません。日本が核武装を決断しても、周辺国から何らかの妨害があることが考えられます。核開発施設等への限定空爆、弾道ミサイルによる攻撃、コマンドによる限定的攻撃も考えられます。

米国が日本の核開発を認めるとなれば、米国の凋落という現実が世界に喧伝され、日米安保の変質も考えられ、日本が攻撃されても米国が参戦することはないことまで考えられます。

日本が核開発に舵を切ることは、あまりの代償を支払わなければならないのです。政治家は国民に夢や希望を与えることも必要ですが、荒唐無稽な話をさもあり得るように話ことはしてはならないことだと筆者は考えます。そしてまた、それに突っ込みを入れる側にもまた、さらなる勉強をして欲しいものです。

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