元自衛官の憂い The third
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11231045 | とうとうやるのか |
安保法制改正で、自衛隊がPKO活動などで他国部隊、民間人などが襲撃された場合、これを武力をもって救援する「駆け付け警護」が南スーダン派遣部隊に任務付与されました。
自衛隊だから法律さえ変えれば「駆け付け警護」といった“簡単な”戦闘任務は可能だとの判断がなされたのでしょうが、多少の訳知りであれば自衛隊が戦闘行為に巻き込まれれば、どれだけの犠牲を出すか背筋に冷たいものが走ります。
日本政府が説明していきたPKOは、国際貢献、国益などと耳に心地よい言葉で説明してきましたが、ウソで塗り固めたものです。さらに、自衛隊だからちょっとした戦闘行為ならできる“だろう”と素人考えで始めるのが「駆け付け警護」です。
ちなみに、「駆け付け警護」という言葉は軍事用語には存在しません。筆者の経験上もまったく認知できない言葉です。しかし、今では「駆け付け警護」が自衛隊用語には存在するようです。防衛省は駆け付け警護実施に対し英訳したコメントを出していますが、「駆け付け警護」を英訳できずkaketsuke-keigoとしているのほどですから、軍事的には全く説明のつかないものなのです。
そもそもPKOとPKFと区別している日本政府ですが、PKOは国連平和維持活動(United Nations) Peacekeeping Operationsで、そこに送られる部隊をPKF国連平和維持軍(United Nations)Peacekeeping Forceというのが真実です。自衛隊の部隊がPKOに派遣された段階で、自衛隊はPKFとなるのです。つまらないウソです。
筆者は「駆け付け警護」を否定する気はありません。日本が背負うべきものだと認識していますが、ウソで塗り固めたもので国民に説明し、自衛隊の能力を無視してそれを命じることは絶対にあってはならないことです。
国益、国際的な信用問題からPKO派遣は必要なことです。軍隊が派遣されれば、当然、作戦行動時に犠牲が出ることもあり得ることです。
しかし、派遣されている自衛隊は規制された武装しかされず、危険に対し最大限の対策が講じられているとはいえないレベルで派遣されている部隊に、戦闘行動に加われというのは、かつての特攻作戦を命じたのと同様な無謀な命令です。
国家意識、愛国心を盾にただ多くの軍人を犬死させることが絶対にあってはならないことです。
自衛隊はこれまでの政権政党は、「軍隊ではない」と説明してきました。それは事実です。最新兵器を揃え、見栄えはしますが、所詮は平和ボケの国民を満足させればいいわけですから、戦えない軍隊が自衛隊なのです。
東日本大震災では、派遣された部隊に無線機が無く、派遣部隊自らが市販されている簡易無線機を買い込んで被災地に向かったのですから、無線機だけとってもこの有様ですから、実戦となれば何が足りなくなるか想像するのも怖いです。
南スーダンに送られている自衛隊は、9mm拳銃×84、89式5.56mm小銃・64式7.62mm小銃×297、5.56mm機関銃×5、軽装甲気動車、高機動車、1/2トントラック、1・1/2トントラックほか車両160両が陸自の装備です。
装甲車もなければ、無反動砲も迫撃砲も持たないのです。ヘリも無い。戦闘が起きて負傷者が出たら、どうやって後送するのか。貧弱な救急キットで、戦闘行為で負傷した隊員をどうしようというのか。
駆け付け警護を命じた時点、派遣された隊員は見捨てられたようなものです。
メディアと自衛隊ファンクラブは、自衛隊は精強だと誤った情報を垂れ流してきました。東日本大震災では、自衛隊は犠牲的精神で活動し精強であるかのような誤解を生みました。震災での活動は、自衛隊が精強なのではなく、隊員たちが犠牲的精神で活動したからこそできたことなのです。震災の活動は、いわば政府による特攻作戦だったのです。
駆け付け警護とはちょっとした戦闘行為ですが、戦闘には情報が必要であり、投入される火力、衛生など様々な要素が満たされてこそ戦闘行為に勝利できるのです。人海戦術で勝利を導くのは、毛沢東の理論でしかありません。
自衛隊の能力不足は、南スーダンに政治家が現地視察と称して出かけ、現状を把握したと語ることでわかります。先進国の軍隊では、現地での諜報活動を行い、現地情勢を分析します。南スーダンではイギリスとの連携を重視すべきですが、連携している様子はありません。
日本政府は何もしていないのに、何かをしているように国民に刷り込んでいるのです。国民を騙し、自衛隊員を犬死させようとしているのです。
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