元自衛官の憂い The third
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12091309 | スクランブルを公表することは反対です |
11月25日、防衛省は中国軍機が沖縄本島から宮古島の間の空域を飛行し、空自は「対領空侵犯措置」として戦闘機にスクランブル発進させ対応したことを公表しました。
「対領空侵犯措置」を公表しても、なぜ中国軍機やロシア軍機が日本の領空(防空識別圏)に近付くのかを説明はしません。
スクランブル発進は軍事的には必要なことですが、あまり騒ぎ立てるのは良い結果を招かない可能性があります。
こうした敵対する可能性のある国の軍用機がやって来るのは、そもそも偵察活動が第一の目的です。
空自の対応力を見るだけでなく、対応に使われる通信周波数など様々な周波数の解析し、当該機まで接近する空自機の到達時間なども測定しています。
周波数を解析し、有事には妨害電波を使うためです。
近い将来、空自でF-35が運用されるようになり、スクランブル対応に使わえるようになれば、中露軍機は今以上に偵察活動を活発化させるでしょう。
中国軍機へのスクランブル回数が増えたのは、中国軍が対日戦争を想定していることをうかがわせます。
軍事目的だけでなく、政治目的もあります。
軍事力を誇示し、日本国内に厭戦気分を広めることも目的にしています。これだけ威力のある兵器が豊富にあるから、「抵抗は無意味だ!」と認識させることが目的です。
スクランブルを公表することに反対なのは、「防空識別圏」という国際法上根拠のない「線」に対し警戒監視することは必要ですが、その脅威を煽るかのような公表は国民に悪影響を及ぼすことも考えられます。国際法上、何ら違法性はないのですから"これだけやってるんだ!"と言いたい防衛省/統合幕僚監部の意向はわかりますが、正しい情報を伝えなければ不要な脅威をまき散らすだけではないでしょうか。
日本(自衛隊)も当然、仮想敵国の情報収集をしているわけですが、それらは一切公表されていません。たとえば、海空自による航空機による偵察活動、海自潜水艦による潜入偵察活動なども行われていることは言うまでもありません。
尖閣諸島周辺海域で空自YS-11EBに対し、中国軍機が異常接近し威嚇したことが報道されましたが、あれこそが日本の偵察活動の一つなのです。
いわばお互い様なわけで、それを一方的に公表し「頑張ってます!」とやるのは戦略的に利益があるのかはなはだ疑問です。
事情を理解せず、自衛隊ファンクラブに入っていたら、「中国軍なにするものぞ!」と憤慨する軽薄な意見も出されてしまいます。さらに、こうした輩が情報を垂れ流すため、それを信じる素人さんが出てきて、世論が偏ったものになってしまうことも懸念されるのです。
情報の公開は必要ですが、精査した上で公表しないと思わぬ反動があるのです。よ~く考えていただきたいものです。
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