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元自衛官の憂い The third

軍事的色眼鏡で見る世界 軍人は究極の合理主義者です。 合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。 軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。 家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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  • :07/29/03:21

04050921 愚かなる防衛大学校(防大)

 私は「大学」を出ていません。学歴コンプレックスはありませんが、大学出だからといって社会で使える人間になるかというと、そうでもないことは社会で様々なヒトと仕事をしているうちにわかるようになります。


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 昨今、防衛大学校卒の任官拒否が問題になっています。確かに学費はゼロ、給与・ボーナスまでもらって任官拒否するのは国民に対する背信行為と言えなくもありませんが。防大出ではない自衛官として防大出を見ると、任官拒否も理解できなくもありません。

 防大の短所は「エキスパート」を育てないということです。防大は他国の士官学校と同等に扱われていますが、現実的には同等に扱うのは間違いです。

 他国の士官学校は「エキスパート」を養成しますが、防大は広く浅い知識を学ばせるため、知っていてもそれほど役に立たない細かな知識であり、最悪はトリビアの宝庫という人材を育成しているだけなのです。

 第二次世界大戦前の日本では、陸軍の現役兵科将校と海軍の現役兵科将校の教育は、それぞれ別の陸軍士官学校(陸士)と海軍兵学校(海兵)とで行われていました。

 日本(個人的には「吉田茂」だと思われます)では、敗戦の一因として、陸海を分別することで、総力戦を遂行できる相互協力がなく、相互の人事協力が必須だと考えられたためです。分別することは、19世紀からの古い軍隊の思考であり、これを否定することで新たな軍の士官養成をしようとしたのです。

 しかし、他国の士官学校、アメリカではウエストポイント(陸軍士官学校)、アナポリス(海軍兵学校)、エアフォース・アカデミー(空軍士官学校)とは全く色合いの違う学校となっています。

 防大卒業後、陸海空に振り分けられ各幹部候補生学校へと進みます。陸自は福岡県久留米市、海自は広島県江田島市、空自は奈良県奈良市にあります。階級は「曹長」に任命されます。

 陸自は9ヶ月の幹部候補生学校での教育訓練、3ヶ月の普通科隊付教育を経て3等陸尉(3尉)に任命されます。海自は約1年間の幹部候補生学校での教育を経て3尉に任命されます。空自は約半年の幹部候補生学校での教育と約半年の部隊勤務を経て3尉に任命されます。

 4年にわたり広く浅い軍事教育を受けて、幹部候補生学校で1年程度の専門知識を叩きこまれて3尉となり部隊へと配置されます。

 専門家としてこれで指揮官となるのですから、部隊で使える人材かといえば、そうでないことは誰の目にも明らかです。

 部隊では邪魔者扱いされることになり、防大卒業生は一部の職種を除きプラス材料とはならないことがご理解いただけると思います。

 現場では号令も掛けられない使えない幹部殿がやって来た程度の認識しかありません。それでいて、プライドだけは高いのですから手に負えない存在です。

 ちなみに、陸海空各幕では幕僚長、副長、防衛部長はすべて防大卒です。防衛部長は幕僚長への登竜門のようなものですから、現在の状況では近い将来、一般大学卒の幹部自衛官が幕僚長の座に就くことはあり得ないようです。

 防大偏重は組織を絶対にダメにします。お役所と何ら変わりが無くなり、いざという時に戦える組織ではなくなる可能性すらあります。

 偶然にも東日本大震災発災時、統幕長・陸幕長がレンジャー・空挺の徽章を付ける変わり種だったため、信じられないような迅速な対応ができましたが、仮にこの二人がこのポストになかったらどうなっていたか・・・考えるのは怖いものがあります。

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