元自衛官の憂い The third
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07310923 | 日報問題 |
南スーダン国連平和維持活動に派遣された陸自部隊の日々活動報告(日報)の文言が問題視されました。
当時、自衛隊の国連平和維持活動への参加には紛争当事者間で停戦合意が前提とされていました。しかし、南スーダンでは停戦合意が崩れ戦闘状態となっているとの指摘がありました。
この日報の文言を稲田防衛相は「戦闘」ではなく「武力衝突」と言い換えて国会で答弁しました。
この日報の情報開示請求に防衛省は既に廃棄されたと開示しませんでしたが、日報が他部署に残っていたことがわかり、「いまさらあったとは言えない」として公開しないことを決めました。
この経緯が稲田防衛相に報告されたのか否か問題にされました。仮に報告を受けていたとすれば、稲田防衛相は「(報告書が存在したことを)報告は受けていない」との国会答弁は〝虚偽〟となり、「戦闘状態」にある事実を大臣は認識していたことになります。大臣・防衛省・陸幕が隠蔽したが疑いが持たれていました。
しかし、議論されるべきは南スーダンから撤収した状況判断、今後の日本の国連平和維持活動への対応姿勢などにより現実的な議論がなされるべきでしたが、結局は政争の道具にされて防衛相の辞任で幕引きとなりました。
「日報」は〝戦闘詳報〟と同じだと考えてください。現場の生の声を反映すべく、外から把握できない内部事情を、今後に反映させるべき資料となります。
配布先は多く、現地部隊から上級部隊、陸幕、学校、研究機関、統幕、防衛省で共有されます。
適不適は別にして、資料として配布先の幕僚等がダウンロードしていたことが考えられ、それが「他部署にあった」とされたものでしょう。
情報開示請求は「公文書」であって、個人のパソコンに残されていた文書が「公文書」とはならないと判断したのは間違いないと思います。個人所有の資料と見るべきでしょう。
「日報」は学校・研究機関では、資料として加工され蓄積されていきますので、それらが存在していたことがわかったのかもしれません。
情報開示は重要なことではありますが、何もかもさらけ出すのは国防上適切な行為ではありません。情報開示され、手の内をさらすことにもつながることになります。
「日報」は現場の生の声ですから、政治状況を勘案して言葉を選んで書かられるものであってはなりません。切迫した状況の中で、政治状況を忖度しながら日報を書くべきではないし、現場にそれを要求してはならないのです。
現場にそこまで要求すると、現場は萎縮し臭い物に蓋をするようになり、現場の実情が全く伝わらなくなることも考えられ、「日報」が資料とならなくなることさえ考えられます。
「陸自のクーデター」「隠蔽」などとセンセーショナルなニュースになっていますが、根源的な問題をもっと議論すべきです。
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