元自衛官の憂い The third
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07241247 | [PR] |
09281037 | 日陰者 |
「君達は自衛隊在職中決して国民から感謝されり、 歓迎されることなく自
衛隊を終わるかも知れない。きっと非難とか誹ぼうばかりの一生かもしれ
ない。 御苦労なことだと思う。
しかし、自衛隊が国民から 歓迎され、 ちやほやされる事態とは外国か
ら攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか国民が困窮し国家が混
乱に直面しているときだけなのだ。 言葉を変えれば君達が日陰者である
ときのほう が、国民や日本は幸せなのだ。 堪えて貰いたい。
一生御苦労なことだと思うが、 国家のために忍び堪え頑張って貰いたい。
自衛隊の将来は君達の双肩にかかっている。 しっかり頼むよ」
これは、吉田茂元首相が防衛大学校第1回卒業式で述べた祝辞とされていますが、これは間違いです。
正しくは、大磯の私邸を訪れた防大1期生(3名)に語った私的発言です。
筆者は吉田元首相の施策には納得できないものもありますが、この発言は的を射たものであり、多くの自衛官に将来にわたって受け継がれるべき言葉です。
平成26年度防衛大学校卒業式で安倍晋三首相が述べた祝辞で、筆者は気になる部分があり、どうしても安倍首相に盲目的に支持できないものを感じています。
気になる部分を抜粋でお話します。
「15年前の11月、中川尋史空将補と、門屋義廣一等空佐が殉職したのは、22日でありました。まずは、諸君と共に、お二人の御冥福を心よりお祈りしたいと思います。
突然のトラブルにより、急速に高度を下げるT33A。この自衛隊機から、緊急脱出を告げる声が、入間タワーに届きました。
「ベール・アウト」
しかし、そこから20秒間。事故の直前まで、二人は脱出せず、機中に残りました。
眼下に広がる、狭山市の住宅街。何としてでも、住宅街への墜落を避け、入間川の河川敷へ事故機を操縦する。5000時間を超える飛行経験、それまでの自衛官人生の全てを懸けて、最後の瞬間まで、国民の命を守ろうとしました。
二人は、まさに、命を懸けて、自衛隊員としての強い使命感と責任感を、私たちに示してくれたと思います」
これは、平成11(1999)年11月22日、空自入間基地において、航空総隊所属のT-33が墜落し、乗員2名が殉職したことを指しています。
事故詳細
13:02 中川2佐・門屋3佐(当時)が年次飛行(技量維持が目的・特定操縦者技能証明取得のため)のため空自入間基地を離陸。
13:36 入間基地への帰投連絡
13:38 コクピット・スモーク(コクピット内に煙)
13:39 エマージェンシーコール
T-33はバランスを崩した状態のまま、住宅密集地を避け入間川河川敷に向かう
13:42:30 ベイルアウト(緊急脱出)
この時、東電高圧送電線に接触し切断。約80万世帯が停電し重大事故となりました。
殉職した中川2佐、門屋3佐らは教育内容・目撃証言から、近隣住民への被害を避けるため限界を超えて機体を保持させ、脱出に必要な高度・角度が確保できない状態にあったと思われました。
2名のパイロットの判断を否定はしません。元自衛官として立派な最期だと頭が下がります。
しかし、筆者は安倍首相の立場で、よくもここまで言えたと怒りさえ感じました。
T-33は1954年、航空自衛隊発足当初から供与された機であり、骨董品どころか博物館の展示品を大事に使わなければならない空自の実情と、それを全く理解していない防衛省/政府が二人に犠牲を強いたと認識しています。
それだけではありません。
詳しくは教えてもらえませんでしたが、空自のパイロットはできる限りベイルアウトをしよう教育されているとのことです。そして、空自の職種に「工作」というのがあって、古い機体の部品を作るような話も聞きました。部品が製造されておらず、空自内で部品を作っているということです。
そんな状態にしておきながら、使命感で亡くなったと冥福を祈るとは、最高指揮官として責任を感じないのでしょうか。
このような人間が音頭を取って何か決めるとしても、事情を知っていれば眉につばするのは当然のことです。
脅されればすぐに引っ込める外交姿勢。領土問題を明確にせず、竹島を放置したまま、言い易いロシアだけに領土問題を投げかける姿勢。積極的平和主義を唱え、難民問題は知らん顔。
本当にどこへ行こうとしているのか、安倍さんが進もうとする道筋が全く見えてきません。「日本を再び、世界の中心で輝く国」にすると言いますが、難解で禅問答のようです。
昨年末、自民党が圧勝した際に筆者は覚悟の必要性を書きました。
残念ですが、筆者の予感が当たってしまったのです。かつての戦争のように、責任は国家の指導者だけにあるものではありません。
安倍首相は独裁者と批判されていますが、その独裁者を生んだのは有権者の1票なのです。そして、自民党が勝つように仕向けたメディア等に責任はあるのです。かつての戦争と同じです。
自衛隊を日陰者にしなければ、我々は再び後悔することになるでしょう。
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