元自衛官の憂い　The third

単純な算数です。

箱の中に1個のケーキがありました。これを8等分するか9等分するか、当然、8等分より9等分にしたほうが切り分けられたケーキ1個の量が少なくなります。小学生にもわかる算数です。

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第9航空団が新編されたと伝えられましたが、筆者は虚しくなってしまいました。戦闘機が増えたわけではもなく、人員が増えたわけでもなく新たな部隊を編制したということはケーキを8等分していたのを9等分にしただけです。つまり、少なくなった部隊も出ていることになります。

軍事的には手薄になった地域も出ているということになり、憂慮されるものです。

平成27年度防衛白書

　現在、南西航空混成団における対領空侵犯措置は、第83航空隊（那覇基地）に所属する第204飛行隊が1個飛行隊のみで実施しているが、緊急発進回数が増加の一途をたどっていることに加え、担当する空域もきわめて広大である。

このような状況を踏まえ、南西地域における防空態勢を充実させるため、航空自衛隊は、平成27年度に第8航空団（築城基地）の第304飛行隊を那覇基地に移動させるとともに、第83航空隊を廃止し、64（昭和39）年の第8航空団新編以来、約50年ぶりに「第9航空団」を新編することとした。

第9航空団の新編により、南西地域における防空態勢をさらに充実させ、各種事態における実効的な抑止および対処を実現するための前提となる航空優勢の獲得・維持を図ることが可能となる。

第8航空団（築城基地）の第304飛行隊（F-15J）・第6飛行隊（F-2）の部隊のうち、第304飛行隊を沖縄に移駐し、第83航空隊隷下の第204飛行隊に第304飛行隊を加え第9航空団を編制したのです。8空団は今や1個飛行隊のみ。航空隊レベルに格落ちしました。

不思議な国です。南西諸島方面が逼迫した状況下にあるのは理解しています。しかし、だからといって九州の飛行隊を更に南に配置換えすることは正しいことなのでしょうか。

北海道・北東北を担当する北部航空方面隊からの抽出なら理解できなくもありませんが、現在の脅威度からして南西諸島、次いで朝鮮半島、そしてロシアとなるはずで北空からの抽出が妥当だと思われます。

8等分から9等分され量の減ったケーキですが、間抜けなことにもったいぶってF-35にしたものの、F-35は新たに欠陥が見つかったと大騒ぎしているのに、なぜかこの国のオタクさんたちはダンマリ。日本、ギリシャ、エジプト、韓国、イラン、トルコで細々と運用されているF-4を後生大事に使っています。軍事上の必要性、有用性よりも流行りもの好きが災いしています。最悪なのは、アメリカ様に操の固い日本を印象付けるために選択しているような兵器選択は日本国民のためにはなりません。

筆者には南西諸島方面の中国の脅威を、日本政府／防衛省／自衛隊は認識していないのではないかとさえ思えてきます。スクランブルが増えた、中国公船の領海侵犯が増えた、公船の武装が強化されたとは言っても、それに備えるべき海保・自衛隊の裏書が何もなされていません。

航空団を50何年振りかで作ったといっても、中身は上げ底にして見た目を増やしただけのことです。予算獲得のためのでまかせとしか思えないのです。

オスプレイ導入決定にしても首をひねるしかありません。確かにヘリに比べて高速で航続距離も長いのは事実です。しかし、固定翼機と比較すればオスプレイは鈍足です。しかし、ヘリのような空中機動ができません。エンジン排気温が高く、危険であり、耐熱処理した飛行甲板を持ったフネでしか運用できません。ホバリングの安定性もヘリに劣るため、高いカネを出してオスプレイを買う意味がないのです。流行りもの好きと言ってしまえば、それで収まるという訳の分からないことをしているのです。

オタクさんたちには目覚めて欲しいです。オタクさんたちが目覚めて、冷静に疑問をぶつけて欲しいものです。でないと、この国は…。