元自衛官の憂い The third
軍事的色眼鏡で見る世界
軍人は究極の合理主義者です。
合理主義者であるが上に、「人道」を忘れたり、犠牲にしたりすることがあります。
軍人は行動は計画的、本心を隠す、混雑する場所を避ける、計画的な金銭感覚、意志が固い、職場での信頼を得やすい、そして最後に家庭では扱いがぞんざいにされるです。
家庭ではぞんざいに扱われながらも、軍事的色眼鏡で見てしまう元自衛官の雑感などを書いていきます。
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(08/01)
(07/29)
(07/20)
(07/12) |
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09011822 | [PR] |
10010849 | 絶滅危惧種 |
自衛隊ファンクラブの会報誌と化している『産経新聞』ですが、相変わらずファン心理は健在です。
『戦場の"猛禽類"武装ヘリ 総合火力演習に舞う 陸空協調の「エアランドバトル」』という記事がありました。あきれました。
総火演から始まります。
総火演は離島奪還のため陸海空自衛隊が統合作戦を行うというシナリオです。P-3Cが侵攻してくる敵上陸部隊の接近を察知し、空自F-2戦闘機が対艦ミサイルにより攻撃。撃ち漏らした敵を、陸自AH-64「ロングボー・アパッチ」とAH-1S「コブラ」により撃破するというのを書かれています。
自衛隊ファンクラブなのに、事実を知らないのでしょうか?
簡単に整理すると、陸自の攻撃ヘリはAH-1Sの後継機としてAH-64Dを導入するはずでした。しかし、調達価格が高騰してしまい、「アパッチ」は13機の取得で"打ち切り"となりました。
コブラは完全に旧式化し、整備予算の不足などでパーツの入手ができなかったり、整備に問題が出てきています。
『産経新聞』によるとありがたい存在ですが、コブラはスピードが遅くチヌークに付いて行けません。コブラに搭載されているTOW対戦車ミサイルは命中まで照準を維持しておかなければならず、照準している間は機体を敵に晒しておかななければなりません。「時代遅れ」です。
おまけにAH-1Sは単発で海上行動能力は低く、当然、単発であることのリスクがあります。
整備の問題でわかりやすいのは、最近の航空祭等にコブラがあまり姿を現さなくなっていますよね。それが何よりの証拠です。
使い物にならないAH-1Sを60機以上も保有して、離島奪還に一役などというのは甘いだけでなく事実誤認、偽りなど、ここまで来るとファンクラブ会報誌ではなく大本営発表です。
絶滅危惧種の「コブラ」と「アパッチ」を離島防衛に使おうなどというのは『産経新聞』は完全にボケています。でなければ、『朝日新聞』のような捏造です。
こういった現実を目の当たりにすると、自衛隊の高級幹部や背広組は、真面目の他国からの脅威とまともに向き合っていないのではと疑ってしまいます。というよりも、自衛隊のこえが現実です。それを隠すように、『産経新聞』のようなファンクラブ会報誌が讃え、何も学ばず威勢がいいだけのネトウヨやそれに感化されている人がネット上で騒ぎ出し、事実はまったく無視されてしまいます。
そもそも敵揚陸艦隊をP-3Cが発見することは無理です。事前に航空基地は大規模空爆にさらされ、もしかしたら弾道ミサイルによる攻撃も考えられます。滑走路が使えなくされ、P-3Cが敵艦隊を発見できる余裕などありません。
千歩譲ってP-3Cが飛べていたとしても、非武装の哨戒機ですから井の一番に生贄にされること必至です。発見できない揚陸艦隊を発見した自衛隊は、空自F-2に攻撃命令が下りますが、使えない滑走路の基地から飛び立てるはずもなく、どこから来るのでしょうか??? あまちゃん! ジェジェジェです。
ここまで来ると、『産経』さんも朝日に並ぶ捏造新聞のようです。
ところで、期待の攻撃ヘリはどこから来るのでしょうか?
事前に離島に配備されているとして、アパッチの滞空時間は2時間40分程度のはずです。だとしたら、1時間の距離だと40分が戦闘地域上空にいられる限界です。離島に配備されたアパッチに期待したいところですが、攻撃ヘリのいる島に都合よく敵が侵攻してくれるでしょうか。
事前に離島に配備されているとして、アパッチの滞空時間は2時間40分程度のはずです。だとしたら、1時間の距離だと40分が戦闘地域上空にいられる限界です。離島に配備されたアパッチに期待したいところですが、攻撃ヘリのいる島に都合よく敵が侵攻してくれるでしょうか。
ヘリは整備に時間と手間がかかり、前線で整備できることにはこれもまた限界があります。機数が少ない上に、海上を飛行すればケアも必要になり、これまた難問山積状態になります。
あまり注目されませんが、総火演は国内で行われるものです。砲弾が飛び交い、その下を日本国民が右往左往逃げまどっているのです。それを誰もが無視しているのです。
『産経新聞』は絶滅危惧種の攻撃ヘリに期待できると言っているのです。攻撃ヘリを絶滅危惧種にした責任追及どころか、期待できないものを期待できると平然と言っています。
こんなことで、日本の国を本当に守れるのでしょうか?
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